「自分はプログラマーになるつもりはないから、プログラミングは必要ない」
大学や専門学校で学ぶ学生の中には、そう思う人もいるかもしれません。 たしかに以前は、営業なら営業、事務なら事務の仕事を覚え、システムが必要になれば専門の会社に依頼する、という形が一般的でした。 しかし、AIの登場でその常識が変わり始めています。 これからは、プログラマーを目指さなくても、ちょっとしたプログラムを作れることが仕事上の武器になる時代です。
これまでは「システムは専門家が作るもの」だった
会社で顧客管理や在庫管理、予約管理などのシステムが必要になれば、システム会社に依頼して作ってもらうのが普通でした。 規模によっては数百万円、数千万円かかることもあります。
そのため、「毎週同じExcel集計をしていて大変」「この入力作業を自動化できたら楽なのに」と思っても、小さな業務改善のためだけに外注するのは現実的ではありません。
結果として、人が手作業で続けている仕事がたくさん残っていました。
AIで「作るハードル」が下がった
そこに生成AIが登場しました。 例えば、「このExcelデータを読み込んで、自動集計するプログラムを作って」と頼めば、AIがコードを提案してくれます。 エラーが出ても、その内容を伝えれば修正方法を教えてくれます。 もちろん、AIに頼めば誰でも完璧なシステムを作れるわけではありません。 ただ、以前なら専門知識がないと難しかったことが、基礎的なプログラミング知識とAIの組み合わせで実現しやすくなったことは大きな変化です。
「市民開発」という考え方
こうした流れと関係するのが、市民開発です。 これは、専門のエンジニアではない社員が、自分たちの仕事に必要なアプリや仕組みを作る考え方です。
例えば、
・営業担当者が見積書を自動作成する仕組みを作る。
・総務担当者が備品管理アプリを作る。
・店舗スタッフが在庫確認ツールを作る。
こうした小さなシステムを、現場の人自身が作るわけです。
AIやローコードツールの普及によって、この市民開発はさらにやりやすくなっています。

「仕事+プログラミング」が強みになる
ここで、営業職を目指す2人を考えてみましょう。
・Aさんは営業の知識があります。
・Bさんも営業の知識がありますが、それに加えて簡単なプログラムを作れます。
入社後、「毎週2時間かけてExcelのデータを集計している」という仕事があったとします。
Aさんは、その作業を毎週2時間かけて行います。
Bさんは、「これ、自動化できないかな?」と考え、AIも使いながら簡単なツールを作り、10分で終わるようにするかもしれません。 Bさんはプログラマーではありません。
それでも、営業の仕事を理解したうえで、その仕事をシステムで改善できる。
この力は、これから大きな強みになるでしょう。
※このBさんは私が会社員だった頃の同期の社員がモデルで営業成績も優秀でした。

AIがあるなら勉強しなくてもいい?
そこで、「AIがプログラムを書いてくれるなら、自分は勉強しなくてもいいのでは?」と思うかもしれません。 しかし、AIが作ったコードが正しいかどうかを判断するには、最低限の知識が必要です。
どこを直せばいいのか。 なぜエラーが出ているのか。 安全に使えるのか。 そもそも、その作り方でよいのか。 こうした判断は、プログラミングをまったく知らない人には難しいものです。
だからこそAI時代には、すべてを自分で書く力だけでなく、AIが作ったものを理解し、直し、使える力が重要になります。

全員が高度なプログラマーになる必要はない
もちろん、全員が高度なシステム開発までできる必要はありません。 銀行の基幹システムや、大規模なECサイトなどは、今後も専門のエンジニアが必要です。 一方で、自分の部署だけで使う小さなツールや、毎日の定型作業を自動化する仕組みなら、自分たちで作れる場面は増えていくでしょう。
そこで必要になるのが、「これは自分で作れる」「これは専門家に任せるべき」と判断できる力です。
そのためにも、プログラミングを学ぶ意味があります。
「何になるか」だけで考えない
「自分は事務職だからプログラミングは関係ない」「営業職を目指しているからC#は使わない」そう考えるのは、少しもったいないかもしれません。
これからは、
▶営業×プログラミング
▶事務×プログラミング
▶経理×プログラミング
▶企画×プログラミング
という組み合わせが、これまで以上に価値を持つ可能性があります。
そこにAIが加われば、自分でできることはさらに広がります。
プログラマーになるためだけにプログラミングを学ぶのではありません。
自分の仕事をもっと便利にし、自分自身の価値を高めるために学ぶ。
AI時代には、そんな考え方が大切になってくると思います。


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