なぜロボットは2本足で歩くのか?|人型ロボットが増えている本当の理由

AIと未来

最近、AIの進化とともに、人型ロボットを見る機会が増えてきました。
工場で荷物を運んだり、物をつかんだり、人間の指示を理解して作業したりするロボットです。
でも、ここで素朴な疑問があります。「なぜ、わざわざ2本足なのでしょうか」
移動するだけなら、タイヤのほうが速くて安定しています。 4本足なら、もっと転びにくそうです。 それでも多くの企業が、難しい2足歩行のロボットを開発しています。 実はその理由は、ロボットそのものよりも、私たちが暮らす社会の形にあります。

2本足は本当に優秀なのか

まず、2本足だから優秀というわけではありません。 平らな床を移動するだけなら、車輪のほうが簡単です。 速く動けて、バランスも取りやすく、省エネにもできます。 一方、2足歩行は歩くたびにバランスを取らなければならず、転倒する危険もあります。 つまり、ロボットにとって2足歩行は、わざわざ難しい方法を選んでいるとも言えるのです。 では、なぜそこまでして2本足にするのでしょうか。

人間の社会は人間用にできている

私たちの身の回りを見てみましょう。
階段、ドア、机、イス、棚、エレベーター。
工場にも、作業台、工具、レバー、スイッチがあります。
これらはすべて、人間が使うことを前提に作られています。
階段の高さも、ドアノブの位置も、人間の体に合わせてあります。
つまり現在の社会そのものが、すでに「人間型」なのです。

そこでロボットを働かせるなら、
「ロボット向けに社会を作り直す ➾ 今ある社会にロボットを合わせる」
現実的なのは、後者でしょう。

階段を上れることには意味がある

車輪型ロボットは、平らな工場や倉庫では非常に優秀です。
しかし一般の建物には、
 ☛ 階段
 ☛ 段差
 ☛ 狭い通路
 ☛ 床に置かれた物
があります。
こうした場所は、人間なら普通に歩いて移動できます。
2足歩行のロボットなら、将来的には人間と同じ場所をそのまま移動できます。
「人間が行ける場所にロボットも行ける」 これが大きな強みです。

実は手も重要

人型ロボットでは、足だけでなく手も重要です。
 ☛ ドアノブを回す
 ☛ 工具を握る
 ☛ スイッチを押す
 ☛ 箱を持つ
これらもすべて、人間の手を前提に作られています。

つまり人型ロボットは、人間の場所を移動できる足 + 人間の道具を使える手を持っているわけです。 人間の代わりに仕事をさせるなら、かなり都合のいい形なのです。

全部のロボットが人型になるわけではない

もちろん、これからすべてのロボットが人型になるわけではありません。
たとえば、
 ☛ 倉庫の搬送 ➾ 車輪型
 ☛ 掃除 ➾ 円盤型
 ☛ 険しい場所 ➾ 4足歩行型
のほうが合理的な場合もあります。

つまり、人型が最強なのではありません。
人間が暮らし、人間が働いている場所で使いやすいから、人型が注目されているのです。

AIの進化で状況が変わった

そして、今になって人型ロボットが注目されている大きな理由がAIです。
ロボットが働くには、周囲を見る ➾ 状況を理解する ➾ 判断する ➾ 手足を動かすという流れが必要です。 以前のロボットは、決められた動きを繰り返すことは得意でした。

しかし、「机の上の青い箱を棚に置いて」といった指示を理解して行動することは簡単ではありませんでした。 AIの進化によって、この「理解して判断する」部分が大きく変わってきています。 これまでロボットには「体」があっても、十分な「頭脳」がありませんでした。 そこにAIという頭脳が加わり始めたのです。

ロボットが人間に似てきた理由

こうして考えると、人型ロボットが増えている理由が見えてきます。 人間そっくりのロボットを作りたいからではありません。 すでにある建物や設備、道具をそのまま使わせようとすると、人間に近い形が都合がいいのです。 つまり、
ロボットが人間に似てきたのではありません。
人間の世界で働かせようとした結果、ロボットが人間に似てきたのです。
これから人型ロボットを見るときは、「人間そっくりだな」で終わらず、なぜその形なのか、どんな仕事をさせたいのかを見ると、ロボット開発の狙いがもっと分かりやすくなります。

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