「うるう秒」をなぜ廃止するのか?|たった1秒がコンピューター社会を混乱させる理由

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2026年9月、「うるう秒」の仕組みを大きく変える動きが注目されています。
うるう秒は1972年に始まり、これまで27回実施されてきました。 ところが今、この「たった1秒の調整」をやめる方向に世界が動いています。 なぜでしょうか。 実は、人間にとってはわずか1秒でも、コンピューターにとっては大きな問題になるからです。 では詳しく見ていきましょう。

そもそもうるう秒とは?

まず「時間」について考えてみましょう。
私たちは「1日は24時間」と当たり前のように考えています。
もともと1日は、地球が1回自転することを基準にしてきました。 ところが、地球は時計のようにまったく同じ速度で回っているわけではありません。 自転速度はわずかに変化しています。

一方、現在の「1秒」は原子時計によって非常に正確に刻まれています。
つまり、
 ☛ 地球の自転による時間 ➾ 少し不安定
 ☛ 原子時計による時間 ➾ 非常に正確
この二つをそのままにしておくと、少しずつズレていきます。
そこで、その差を調整するために使われてきたのが「うるう秒」です。

うるう年とは何が違う?

「うるう年と同じなの?」と思う人もいるでしょう。
名前は似ていますが、別物です。
 ☛ うるう年 = 地球の公転によるカレンダーのズレを調整
 ☛ うるう秒 = 地球の自転による時刻のズレを調整

うるう年では2月29日を加えて1日を調整します。
うるう秒では、1秒単位で時間を調整します。

たった1秒なら問題ないのでは?

ここで疑問が出てきます。
「1秒くらいズレてもいいのでは?」

人間の日常生活だけなら、確かにほとんど問題ありません。 ところがコンピューターの世界では事情が違います。 銀行取引、通信、クラウドサービスなどでは、「何時何分何秒に何が起きたか」という記録が重要です。

例えば、10:00:00 ➾ 10:00:01 ➾ 10:00:02 というように、時間が一定のルールで前に進むことを前提にシステムが動いています。 そこへ特別な1秒を入れると、普段とは違う時刻が登場します。 するとタイムスタンプや処理の順番に問題が起きる可能性があります。 つまり問題なのは、1秒長くなることではなく、時間の流れに「例外」を作ることなのです。

少しずつ調整すればいいのでは?

それなら、1秒を一気に変えず、少しずつ調整すればよさそうです。 実際、そのような「リープ・スミア」と呼ばれる方法も使われています。 ところが、ここにも問題があります。

A社は24時間かけて調整する。 B社は別の方法を使う。 C社は一気に調整する。 こうなると、同じ瞬間なのにコンピューターによって「現在時刻」が微妙に違うという問題が起こります。 世界中のコンピューターがつながった現在では、時間の調整方法もできるだけ統一する必要があるのです。

そこでうるう秒をやめる

ここで発想を変えます。 そもそも地球の自転と時計を、常に1秒以内で合わせる必要があるのか? 多少のズレを許容して、頻繁な調整そのものをやめた方が安全なのではないか。 現在検討されている案では、地球の自転による時刻と協定世界時(UTC)の差を、これまでより大幅に許容する方向です。

大切なのは、時計そのものが不正確になるわけではないことです。 原子時計は正確な時間を刻み続けます。 「正確な時計を地球の自転に細かく合わせ続ける」という考え方を変えるのです。

それって問題の先送りでは?

ここは気になるところです。 うるう秒をやめても、地球の自転と原子時計のズレが消えるわけではありません。 つまり、小さなズレを頻繁に直す ➾ 小さなズレは許容して将来まとめて考えるという方向転換とも言えます。 ある意味では「将来への先送り」です。 しかし、その間にコンピューター技術も大きく進歩するでしょう。 今の技術で危険な調整を繰り返すより、将来もっと安全な方法を考えるという判断でもあります。

AIなら解決できないのか?

では、AIならこの問題を解決できないのでしょうか。 AIは地球の自転の分析や予測、システムへの影響分析、安全な調整方法を考えることには役立つでしょう。

しかし、最後に残る問題があります。 世界中が同じ時間のルールを使わなければならないことです。 AIが優れた方法を考えても、国や企業によって使うルールが違えば意味がありません。 これは技術だけではなく、世界共通のルールをどう決めるかという問題なのです。

たった1秒に現代社会が見える

うるう秒は、わずか1秒の話です。 しかし、その裏側には、地球の自転 ➾ 原子時計 ➾ 世界標準時 ➾ コンピューター ➾ 社会インフラという巨大な仕組みがあります。 これまでは「時計を地球に合わせる」ことを重視してきました。 しかしデジタル社会では、わずかなズレをなくすことより、世界中のシステムを安定して動かすことの方が重要になってきたのです。 たった1秒。 その1秒をどう扱うかに、コンピューターに支えられた現代社会の難しさが表れているのです。

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