いま、ChatGPTやGemini、Microsoft Copilotなど、さまざまなAIサービスが登場しています。 普段は質問を入力して回答をもらうだけかもしれませんが、実は、こうしたAIの技術を利用して、自分だけのアプリを作ることもできます。
「でも、AIを作るには専門的な技術が必要なのでは?」、と思いますよね。 ところが現在は、AIの頭脳を一から開発しなくても、既存のAIを利用して独自のアプリを作れるようになっています。 今回は、AIの頭脳にあたる「LLM」と、それを利用するための「API」について、身近な例を使って解説します。
ChatGPTとCopilotは、実は同じAIを使っている?
まず、意外と知られていない話から始めましょう。
ChatGPTはOpenAI、CopilotはMicrosoftが提供するサービスです。 別々の会社のサービスなので、中身のAIもまったく違うと思うかもしれません。 しかし、Microsoft Copilotでは、ChatGPTでも使われるGPT系のAIモデルが利用されてきました。 現在は用途によって、ほかのAIモデルが使われる場合もあります。
つまり、異なるAIサービスでも、同じ種類のAIを頭脳として利用していることがあるのです。
では、その頭脳とは何なのでしょうか。
LLMとは? AIの頭脳とサービスの違い
AIの頭脳にあたるのが「LLM」です。 LLMとは「Large Language Model(大規模言語モデル)」の略で、大量の文章やプログラムなどを学習し、質問への回答や文章の作成などを行うAIです。
例えば、ChatGPTではGPTシリーズ、GeminiではGeminiシリーズというAIモデルが使われています。 ここで、車に例えてみましょう。

車には、動力を生み出すエンジンと、それを利用して走る車体があります。 同じように、LLMをエンジン、AIサービスを車全体と考えると分かりやすいでしょう。
エンジンを自分で開発しなくても車を作れるように、LLMを一から開発しなくても、それを利用したAIアプリを作れるのです。
企業はLLMをどうやって利用している?
例えば、ある会社が「社内マニュアルについて質問すると回答してくれるAI」を作りたいと考えたとします。 その会社が、膨大なデータを使ってLLMを最初から開発する必要はありません。 既存のLLMを利用し、社内マニュアルを検索する仕組みなどと組み合わせればよいのです。 このとき利用される代表的な仕組みが「API」です。 APIとは、異なるシステム同士が機能や情報をやり取りするための仕組みのこと。 AIの場合は、自分のプログラムからLLMに質問を送り、その回答を受け取るために利用できます。 つまり、「AIの頭脳は外部のサービスを利用し、必要な機能だけを自分たちで作る」わけです。
個人でもAIアプリを作れる? レシピ提案アプリを例に解説
ここからは、もっと身近な例で考えてみましょう。
例えば、冷蔵庫に「じゃがいも、にんじん、肉」が残っていたとします。 この食材を使って、20分以内で作れる料理を知りたい。 そんなとき、自分専用の「レシピ提案アプリ」があったら便利ですよね。 実は、この程度の仕組みなら、個人でも既存のLLMを使って作ることができます。
まず、C#などのプログラミング言語で、食材と調理時間を入力できる画面を作ります。 画面には「レシピを作成」というボタンも用意します。 ここまでが、自分で作るプログラムの部分です。
では、ボタンを押すと何が起こるのでしょうか。
ボタンを押すとAIが考える! API連携の流れ
利用者が、食材に「じゃがいも、にんじん、肉」、調理時間に「20分以内」と入力します。 そして「レシピ作成」ボタンを押します。 すると、プログラムは入力された情報を使って、次のような文章を作ります。
「じゃがいも、にんじん、肉を使って、20分以内で作れる料理を3つ提案してください」 この文章を、APIを通じて外部のLLMに送信します。 するとLLMは、条件に合う料理と作り方を考え、回答を返してくれます。 プログラムは、その回答を受け取って画面に表示します。

流れをまとめると、次のようになります。
- 利用者が食材と時間を入力する
- ボタンを押すとプログラムがAPIで質問を送る
- LLMがレシピを生成する
- プログラムが回答を受け取る
- 画面にレシピを表示する
ここで重要なのは、役割分担です。
画面やボタン、情報の送受信は自分で作るプログラムの仕事。
レシピを考えて文章にするのはLLMの仕事です。

つまり、自分でAIの頭脳を作っているわけではありません。
すでに存在するAIの能力を、自分のアプリに組み込んでいるのです。
APIキーとは? 利用すると料金がかかる?
APIを利用するときには、「APIキー」というものが使われることがあります。 これは、サービスを利用するプログラムを認証するための秘密の鍵のようなものです。 APIキーによって、どの契約でサービスを利用しているのかを確認でき、利用量の管理などにも役立ちます。 そのため、パスワードと同じように、他人に知られないよう管理する必要があります。

また、APIの利用には料金が発生する場合があります。 例えばOpenAIのAPIでは、利用するモデルや、送受信した文章の量などによって料金が決まります。 注意したいのは、ChatGPTの月額料金とAPIの利用料金は別になっていることです。 ただし、個人でもAPIを契約して利用できるため、必ずしも企業である必要はありません。
API連携のメリットとデメリット
APIを利用する最大のメリットは、高性能なAIを一から開発しなくても利用できることです。 自分の目的に合わせた画面や機能を作れば、個人でも独自のAIアプリを開発できます。
一方で、注意点もあります。 APIの利用料金が発生することや、外部サービスの仕様変更などの影響を受けることです。 また、入力した情報を外部のAIサービスに送る場合は、個人情報や機密情報の取り扱いにも注意が必要です。
便利だからこそ、利用する目的や情報の管理方法を考えることが大切になります。
まとめ|AIは使うだけでなく、自分のアプリに組み込める
これまでAIといえば、専門家が高度な技術を使って開発するものという印象があったかもしれません。 しかし現在は、既存のLLMをAPIで利用することで、個人でもAIを活用したアプリを作れる時代になっています。
もちろん、実際の開発にはプログラミングやAPI連携の知識が必要です。 それでも、AIの頭脳そのものを開発する必要がないというのは、大きな変化ではないでしょうか。
大切なのは、「AIを一から作れるかどうかではなく、AIを使って何を実現したいか」 これからは、AIに質問するだけでなく、AIを自分の作りたい仕組みに組み込むという使い方も、ますます身近になっていくでしょう。


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