2026年8月31日、情報処理推進機構(IPA)が、2027年度から開始予定の新しいITパスポート試験について、シラバス案とサンプル問題を公開しました。 現時点ではまだ案の段階で、今後変更される可能性があります。 「ITパスポートが変わる」と聞くと、今までの試験がまったく別のものになるように感じるかもしれません。
しかし、そうではありません。 今回の変更を簡単に言えば、今までの内容を多く残しながら、分類を整理し、AI時代に必要な内容を一部追加・強化するというものです。
IPAが示している主な変更点は、大きく3つあります。
変更点① 3つの分野を分かりやすく整理する
現在のITパスポートは、「ストラテジ系」「マネジメント系」「テクノロジ系」の3分野に分かれています。 ストラテジ系では企業活動や経営戦略、マネジメント系ではシステム開発やプロジェクト管理、テクノロジ系ではコンピュータ、ネットワーク、データベース、セキュリティなどを学びます。
これが新しい試験では、
「ビジネス」 「テクノロジ」 「セキュリティ・倫理」
という形に整理される予定です。
ここで大切なのは、名前が変わるからといって、中身がすべて変わるわけではないことです。
ネットワークやデータベース、企業活動など、これまで学んできた基礎知識の多くは今後も必要です。
変更点② 新しい内容も一部追加される
では、本当に分類を変えるだけなのでしょうか。
そうではありません。
IPAは新しく、「DXで求められるマインド・スタンス」「データマネジメントの基礎」などを追加するとしています。 マインド・スタンスとは、簡単に言えば仕事に取り組むときの考え方です。
例えば、最初から完璧を目指すのではなく、小さく試して改善する。データを見て判断する。変化を恐れず新しい方法を試す。 こうした考え方も、デジタルを活用する人に必要な力として扱われるようになります。 つまり、単にIT用語を覚えるだけではなく、ITやデータを仕事でどう使うのかという視点が強くなるわけです。
変更点③ セキュリティ・倫理がさらに重要になる
もう一つ大きなポイントが、セキュリティと倫理の強化です。
今は生成AIを使えば、文章や画像を簡単に作ることができます。
しかし、会社の機密情報をAIに入力してよいのか、個人情報を入力してよいのか、AIが作った文章を確認せずに使ってよいのか、こうした問題は、「操作できるか」だけでは判断できません。
これからは、「できるか」だけでなく「やってよいか」を考える力が必要になります。
IPAも、AI時代に対応したセキュリティ・倫理の出題を強化するとしています。
サンプル問題も公開された
IPAは、新しいITパスポート試験のサンプル問題も公開しています。
ただし、これは2027年度の本試験問題そのものではありません。
新しく追加される分野や、どのような問題を想定しているのかを示すためのサンプルです。
シラバス案も現時点では変更される可能性があります。 そのため今の段階では、「問題が全部変わる」と考えるより、「これまでの基礎知識に、新しい考え方が加わる」と理解するのがよいでしょう。
なぜITパスポートを変えるのか
背景には、社会そのものの変化があります。
以前は、ITの知識は主にシステムエンジニアなど専門職に必要なものでした。
しかし今は、営業、事務、販売、教育など、多くの仕事でクラウドやデータ、生成AIを使います。
そのためITパスポートにも、「ITを知っている」だけではなく、
・ITやAIを仕事に活用できる
・データを正しく扱える
・危険な使い方を判断できる
といった力が求められるようになっているのです。
2027年度の変更は、ITパスポートをまったく別の資格にするものではありません。
これまでのIT基礎知識を土台にしながら、AI・データ活用・セキュリティ・倫理など、今の社会に必要な力をより分かりやすく整理する。
今回の変更は、そう考えると分かりやすいでしょう。



コメント