「就職するには、まず資格を取ること」「技術力があれば就職できる」
このようなイメージを持っている人は多いのではないでしょうか。
もちろん、仕事に必要な技術や知識は、今でも非常に重要です。
しかし近年、多くの企業が技術力と同じくらい重視しているものがあります。
それが、コミュニケーション能力です。 企業の新卒採用に関する調査でも、コミュニケーション能力は、企業が重視する項目の上位に挙げられています。
では、なぜ今、これほどコミュニケーション能力が重視されているのでしょうか。
今回は、仕事の進め方やAIの普及との関係も含めて考えてみます。
技術力の重要性は下がっていない
まず、誤解してほしくないことがあります。
「コミュニケーション能力が大切」と聞くと、「もう技術力は必要ないの?」と思う人もいるかもしれません。 しかし、それは違います。
プログラマーならプログラミングの知識、事務職ならExcelやWordのスキル、営業職なら商品やサービスに関する知識など、仕事をするうえで必要な技術や知識は今でも欠かせません。
重要なのは、技術力の重要性が下がったのではなく、技術力だけでは差がつきにくい時代になったということです。
資格やスキルを持っている人が増えた現在、企業は技術力だけではなく、それを仕事の中でどのように生かせるかにも目を向けています。
一人で仕事をする時代ではなくなった
企業がコミュニケーション能力を重視する大きな理由の一つは、仕事の進め方にあります。
現在の仕事は、一人だけで完結するものがほとんどありません。
例えば、システム開発では、プログラマー、デザイナー、営業担当、プロジェクトマネージャーなど、多くの人が協力して一つのシステムを完成させます。
その中では、次のような行動が必要になります。
・必要な報告をする
・分からないことを相談する
・相手の説明を正しく理解する
・自分の考えを相手に伝える
・周囲と協力して仕事を進める
どれだけ高い技術を持っていても、必要な報告や相談ができなければ、チーム全体の仕事に支障が出ます。 企業が見ているのは、単に「仕事ができる人」だけではありません。
「周りの人と一緒に仕事ができる人」を求めているのです。
AIによって人間の強みが明確になった
近年は、AIの急速な進化も大きな影響を与えています。
AIは、文章を書いたり、プログラムを作ったり、資料をまとめたりすることができます。
以前であれば、専門的な知識を持つ人が時間をかけて行っていた作業を、AIが短時間でサポートできるようになりました。
だからといって、人が必要なくなるわけではありません。
むしろ、これから人に求められるのは、
・相手の立場を考える力
・信頼関係を築く力
・チームをまとめる力
・状況に応じて判断する力
・AIが作った内容を確認し、活用する力
といった能力です。
AIが人の価値を下げたのではなく、AIによって人間の強みがより明確になったのだと言えます。
「AIが得意な作業はAIに任せ、人は人にしかできない役割を担う」
これが、これからの働き方になっていくのではないでしょうか。
コミュニケーション能力は話の上手さではない
「私は人前で話すのが苦手だから、コミュニケーション能力が低い」
そう考えてしまう人もいるかもしれません。
しかし、企業が求めているコミュニケーション能力は、単におしゃべりが上手なことではありません。
例えば、次のような行動もコミュニケーション能力に含まれます。
・相手の話を最後まで聞く
・分からないことを質問する
・必要なことを報告する
・相手に伝わるように説明する
・周りの人と協力する
・自分とは違う意見を受け止める
話すことが得意でなくても、相手の話を聞き、必要なやり取りをきちんと行うことはできます。
コミュニケーション能力は、一部の人だけが持つ特別な才能ではありません。
日々の行動を意識することで、少しずつ身につけられる力です。
これから社会に出る学生へ
私は専門学校で学生を教えていますが、就職活動というと、「資格を取ること」や「技術を身につけること」ばかりに目が向いてしまう学生が少なくありません。
もちろん、資格や技術はとても大切です。
しかし、企業が見ているのは、それだけではありません。
企業は、「この人と一緒に働きたいと思えるか」という点も見ています。
そのために、特別に高い話術が必要なわけではありません。
「相手の話をしっかり聞くこと」
「分からないことを素直に質問すること」
「必要なことを報告すること」
「周りの人と協力すること」
こうした一つひとつの行動が、社会に出てからの信頼につながります。
技術は勉強や練習によって身につけることができます。
一方、人との信頼関係は、毎日の行動によって少しずつ築かれていくものです。
学生のうちから、技術を学ぶことと同じように、人との関わり方についても意識してほしいと思います。
まとめ
企業がコミュニケーション能力を重視しているのは、技術力が必要なくなったからではありません。
多くの仕事がチームで進められ、AIの普及によって人にしかできない役割の価値が高まっています。
これからの時代に求められるのは、「技術力」と「人間力」の両方を備えた人材です。
資格やスキルを磨くことは、もちろん大切です。 それと同じように、周りの人と協力し、信頼される行動を積み重ねることも、社会で働くうえでは欠かせません。
その積み重ねは、就職活動だけでなく、社会人になってからも大きな強みになるでしょう。


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