昔のゲームを遊んだことがある人なら、「色違いの敵が多い」「似たような洞窟や城が多い」と感じたことがあるかもしれません。
今のゲームと比べると単調に見えますが、これは手抜きではありません。実は当時のゲーム開発者たちは、今では考えられないほど厳しいメモリ制限の中でゲームを作っていました。
今回は、昔と今のメモリ事情を比較しながら、限られた環境で生まれた開発者たちの工夫を見ていきましょう。
そもそもメモリとは何か?
まず、「メモリ」という言葉を整理しておきましょう。
メモリはデータを長期間保存する場所ではありません。コンピュータが作業するときに使う、一時的な記憶場所です。
例えるなら、
・SSDやHDD = 本棚
・メモリ = 作業机
・CPU = 作業する人
ではないでしょうか。
ゲームのデータはSSDやカセットに保存されていますが、実際に遊ぶときにはメモリに読み込まれ、CPUが処理します。
つまりメモリとは、「使用中のデータを置いておく作業机」のような存在なのです。
ファミコンのメモリはわずか2KBだった
では、昔のゲーム機にはどれくらいのメモリが搭載されていたのでしょうか。
| ゲーム機 | メモリ |
|---|---|
| ファミコン(1983) | 約2KB |
| セガ・マークIII(1985) | 8KB |
| PCエンジン(1987) | 8KB |
| スーパーファミコン(1990) | 128KB |
| メガドライブ(1988) | 64KB |
| PlayStation(1994) | 2MB |
| セガサターン(1994) | 2MB |
| Nintendo 64(1996) | 4MB |
| ドリームキャスト(1998) | 16MB |
| PlayStation 2(2000) | 32MB |
| ニンテンドーゲームキューブ(2001) | 24MB |
| Xbox(2001) | 64MB |
| PlayStation Portable(PSP)(2004) | 32MB |
| ニンテンドーDS(2004) | 4MB |
| Xbox 360(2005) | 512MB |
| PlayStation 3(2006) | 256MB+256MB |
| Wii(2006) | 88MB |
| ニンテンドー3DS(2011) | 128MB |
| PlayStation Vita(2011) | 512MB |
| Wii U(2012) | 2GB |
| PlayStation 4(2013) | 8GB |
| Xbox One(2013) | 8GB |
| Nintendo Switch(2017) | 4GB |
| PlayStation 5(2020) | 16GB |
| Xbox Series X(2020) | 16GB |
ファミコンの約2KBとPS5の16GBを比べると、その差は約800万倍です。
現在のスマートフォンで撮影した写真1枚が数MBありますから、ファミコンのメモリには写真1枚すら入りません。 そんな環境でゲームを作っていたのですから、開発者たちがどれほど苦労したか想像できます。
工夫① 色違いの敵で容量を節約した
昔のRPGには、同じ姿をした色違いの敵がよく登場しました。
例えば、
・青いスライム
・赤いスライム
・緑のスライム
といったパターンです。
これは単なるデザインではなく、容量節約のための工夫でした。
敵ごとに新しい画像を作るとメモリを大量に消費します。そのため、同じ画像を使い回しながら色だけ変更していたのです。
少ないデータで多くの敵を表現するための知恵と言えるでしょう。
工夫② マップを部品として使い回した
昔のゲームで似たような洞窟や城が多かったのにも理由があります。
開発者はマップ全体を1枚の巨大な画像として保存するのではなく、
草、木、壁、床、岩といった小さな部品を組み合わせて世界を作っていました。
レゴブロックで建物を組み立てるイメージです。
同じ部品を何度も利用できるため、少ないデータで広い世界を表現できたのです。
工夫③ 音楽は録音ではなく「楽譜」だった
ファミコンの音楽といえば、独特のピコピコ音を思い浮かべる人も多いでしょう。
実はこれも容量不足が関係しています。
現在のゲームでは録音した音声や楽器の演奏をそのまま再生できます。
しかし昔は、そのような大容量データを保存する余裕がありませんでした。
そこで、ドを鳴らす、ミを鳴らす、ソを鳴らすといった楽譜のような情報だけを保存し、ゲーム機がリアルタイムで音を作り出していました。
制約の中から生まれた技術が、結果として独特のゲーム音楽文化を作ったのです。
工夫④ 必要なデータだけを読み込んだ
昔のゲーム機は、ゲーム全体を一度にメモリへ読み込むことができませんでした。
そのため、
・今いるステージ
・今表示している敵
・今流している音楽
など、本当に必要なデータだけを読み込んでいました。
次のエリアへ進むと、新しいデータに入れ替える仕組みです。
実はこの考え方は、現在のオープンワールドゲームでも使われています。
今のゲームもメモリとの戦いは続いている
では、現代のゲームはメモリ不足とは無縁なのでしょうか。
実はそうではありません。
PS5には16GBものメモリがありますが、
・4K映像
・高精細な3Dモデル
・オープンワールド
・オンライン通信
・AI処理
など、扱うデータそのものが巨大化しています。
昔は「メモリが少なすぎる戦い」でした。
今は「データが大きすぎる戦い」になっただけなのです。
まとめ
昔のゲームに色違いの敵や似たようなマップが多かったのは、限られたメモリの中で面白いゲームを作るための工夫でした。
わずか2KBという環境で、開発者たちは画像を使い回し、マップを部品化し、音楽を楽譜として保存するなど、さまざまな知恵を生み出しました。
今のゲームは圧倒的な性能を持っていますが、昔のゲームには「限られた資源を最大限活かす工夫」が詰まっています。
ゲームの歴史を振り返ると、コンピュータの仕組みやメモリの役割についても、より深く理解できるのではないでしょうか。


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