2026年8月31日、文部科学省は次の学習指導要領改定に向けた素案を示しました。
前回の記事では全体像、第2記事では小学校の変化を見てきました。
今回は中学校です。 中学校では今回、かなり大きな変更が予定されています。
最大のポイントは、現在の「技術・家庭科」から技術分野を切り離し、「情報・技術科」という新しい教科を設ける方向が示されたことです。
「技術・家庭科」から「情報・技術科」へ
現在の中学校では、「技術・家庭科」の中に技術分野と家庭分野があります。
今回の素案では、この技術分野を独立させ、新たに「情報・技術科」とする案が示されています。
単に名前が変わるだけではありません。
これまでの技術分野を土台にしながら、情報活用能力やプログラミング、データ活用、AI時代に必要な判断力などを、より本格的に学ぶ方向です。
中学校で「情報」という言葉が教科名にはっきり入ること自体、大きな変化だと言えます。
授業時間は大幅に増える
もう一つ大きいのが授業時間です。 素案では、「情報・技術科」の授業時数を、中学1・2年で年間最大70コマ程度、中学3年で最大35コマ程度とする方向が示されています。
これは、従来の技術分野と比べて大幅な増加です。
今後は、
・情報の扱い方
・プログラミング
・データ活用
・ネットワーク
・情報モラル
・AIとの付き合い方
などを、これまで以上に学ぶことになると考えられます。
ただし、まだ素案の段階なので、「何年生で何を学ぶか」など細かな内容はこれから決まります。
AIの使い方だけを学ぶわけではない
「情報・技術科」と聞くと、生成AIを操作する授業が増えるように思うかもしれません。
しかし、本当に重要なのはその前提となる基礎です。
例えば、
「AIの答えはなぜ間違うことがあるのか」
「ネットの情報はどこまで信用できるのか」
「個人情報をAIに入力してよいのか」
「著作権はどう考えるのか」
といった判断力です。
つまり、AIを使う技術そのものより、AIを正しく使うための考え方が重要になります。
プログラミングはどう変わる?
中学校では、すでに技術分野でプログラミングを学んでいます。 今回の改定で情報教育が強化されれば、プログラミングの位置づけもさらに重要になる可能性があります。
ただし、必要なのはコードをたくさん書けることだけではありません。
大切なのは、何を作るのか考える、処理を分ける、手順を考える、動かす、間違いを直す、という考え方です。 AIがコードを書いてくれる時代だからこそ、そのコードが正しいか判断できる基礎知識が必要になります。
他の教科もAIの影響を受ける
今回の素案では、「情報・技術科」だけでなく、全教科でAIの影響を踏まえる方向が示されています。
例えば国語なら、AIが作った文章の根拠を確認する。
数学なら、AIが出した答えを自分で検証する。
社会なら、AIやネット上の情報の出典を確認する。
英語なら、AI翻訳の便利さと限界を考える。
こうした授業が増える可能性があります。 つまり、「情報・技術科」で基礎を学び、他の教科で実際に使って考える流れができるかもしれません。
評価は難しくなる
ここは今後、大きな課題になりそうです。
AIを使ってレポートを作った場合、どこまでが本人の力なのか。
AIを使った生徒と使わなかった生徒を、どう公平に評価するのか。
答えが一つではない課題が増えれば、先生にはこれまで以上に判断力が求められます。
今後は、
・根拠があるか
・筋道が通っているか
・AIの答えを検証しているか
・自分の言葉で説明できるか
といった部分を見て評価する必要が出てくるでしょう。
先生側の負担も大きい
情報教育を強化するなら、先生側の準備も必要です。 AI、情報モラル、著作権、プログラミング、データ活用など、変化の速い分野を学び続けなければなりません。
さらに、学校によって設備や先生の経験にも差があります。 そのため、教科を新設するだけでなく、教師研修や教材、ICT環境まで整えられるかが重要になります。
私たちはどう使えばいいのか
中学生になると、小学生より自分でAIを使う機会が増えてきます。
だからこそ、AIに聞いて終わりにしないことが大切です。
・AIに聞く
・理由を確認する
・教科書や別の資料でも確かめる
・最後は自分の言葉で説明する
この流れを身につければ、AIは考える力を奪う道具ではなく、考える力を広げる道具になります。
中学校では「情報」が本格的な教科になる
今回の改定で、中学校は大きく変わりそうです。 「技術・家庭科」の一部だった技術分野を独立させ、「情報・技術科」を設け、授業時間も大幅に増やす方向が示されました。
目的は、単にAIを使える生徒を増やすことではありません。
AIやデータを使いながら、自分で考え、自分で判断できる力を育てること。
そのための情報教育を、中学校で本格化させようとしているわけです。
次回は、高校で何が変わるのかを詳しく見ていきます。



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