選挙が終わったあと、こんな疑問を持った人は多いのではないでしょうか。
「マニフェストって、守らなかったらウソつきじゃないの?」
「約束を破ったら、何か問題になるんじゃないの?」
とても自然な疑問です。
今回はこの問いを、感情ではなく仕組みとして整理して考えてみます。
マニフェストは「法律」ではない
まず、事実から確認しておきましょう。
マニフェストは、
法律のように必ず守らなければならないものではありません。
法律であれば、守らなければ違法になります。
しかしマニフェストは、選挙のときに示される
「こういう政治を目指します」という約束です。
そのため、
- 守れなかったからといって、すぐに違法になる
- 自動的に罰を受ける
ということはありません。
ここだけを見ると、
「じゃあ、守らなくてもいいの?」
と思ってしまうかもしれません。
実際には、何が起きるのか
では、マニフェストが守られなかった場合、
本当に何も起きないのでしょうか。
そんなことはありません。
実際には、次のようなことが起きます。
- 国会で「なぜ守れなかったのか」と問われる
- メディアで検証や批判が行われる
- 世論が変化し、支持率に影響が出る
- 次の選挙で評価が下される
つまり、
法律上の罰はなくても、政治的な評価は必ず返ってくる
という仕組みになっています。
守れなかった理由が生まれることもある
ここで、もう一段考えてみましょう。
政治の世界では、
選挙のときには想定していなかった出来事が、
あとから起きることもあります。
- 経済状況の急な変化
- 国際情勢の悪化
- 大きな災害や危機
こうした理由で、
「やろうとしていた政策が実行できなくなる」
ということは、現実には起こりえます。
ただし、ここで一度、立ち止まって考える必要があります。
「想定外」という言葉は、本当に免罪符になるのか
映画 アルマゲドン の中で、
主人公のハリーがNASAの専門家たちに向かって、
こんな趣旨の言葉を投げかける場面があります。
「世界一賢い連中が集まって、
本当にそれしか思いつかなかったのか?」
日本語翻訳での言い回しですが意味は一貫しています。
「それは本当に想定できなかったのか?」
という問いです。
この言葉は、
政治の世界で使われる「想定外」という説明にも、
そのまま当てはまります。
- 本当に予測できなかったのか
- それとも、想定はできていたが語らなかったのか
この違いは、とても大きいのです。
なぜ「説明不足でした」では済まされないのか
マニフェストに、
すべてのマイナス面を書くことは、現実的には難しい
という事情はあります。
選挙では、どうしても
分かりやすいプラスの話が前に出やすいからです。
ただし、
あとから
「説明不足でした」
で済ませてしまうと、どうなるでしょうか。
それは、
国民が判断するための材料を、最初から十分に与えられていなかった
ということになります。
これは、単なる説明の問題ではありません。
選挙という仕組みそのものへの信頼を、少しずつ削ってしまう行為
でもあるのです。
戦略として理解できても、許されるとは限らない
マニフェストでプラス面を強調することは、
戦略として理解できる部分もあります。
人は、良い話に注目しやすいからです。
しかし、政治は
広告や商品の宣伝とは違います。
- 税金
- 生活
- 将来の社会
に直接関わるからです。
不都合な前提を伏せたまま選ばせることは、
本当の意味での「選択」とは言えません。
理解できることと、許されることは同じではない
この点は、しっかり分けて考える必要があります。
私たちは、何を見て判断すればいいのか
では、有権者は何を見ればよいのでしょうか。
ポイントは、
「守ったか」「守らなかったか」だけではありません。
次の点を見ることが大切です。
- なぜ守れなかったのか
- その説明は、後出しになっていないか
- 説明に一貫性があるか
- 代わりに、何をしようとしているのか
説明の仕方そのものが、信頼に値するかどうか
ここが判断の分かれ目です。
まとめ|選挙は「終わり」ではなく「始まり」
マニフェストは、万能な約束ではありません。
しかし、軽い約束でもありません。
守れなかったときに問われるのは、
- 逃げたか
- ごまかしたか
- それとも、きちんと向き合ったか
という姿勢です。
選挙は、投票した瞬間で終わりではありません。
その後の説明を見続けるところまでが、選挙です。
信頼は、一度の約束ではなく、
説明を重ねることでしか保たれない
このことを、私たちは忘れないようにしたいですね。
さいごに
このシリーズでは、
選挙で掲げられたマニフェストについて、
「生活への影響」「約束の全体像」「守られなかったときに問われること」
という順番で見てきました。
大切なのは、
「守れたか、守れなかったか」だけで判断しないことです。
- どんな説明があったのか
- その説明は、納得できるものだったのか
- 私たちは、判断するための材料を与えられていたのか
選挙は、投票した瞬間で終わりではありません。
その後の説明を見続けることも、私たちの選択の一部です。
この視点を、
ぜひ次の選挙まで心に残しておいてください。


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