人間の記憶容量に限界はある?|脳はUSBメモリのように満杯になるのか

ITリテラシー・スキル

「人間の脳にも、USBメモリのような容量の限界があるのでしょうか?」
たとえば32GBのUSBメモリなら、32GBまでデータを保存すると、それ以上は入りません。新しいデータを入れるには、古いデータを消す必要があります。

では、人間の脳も同じなのでしょうか。
結論から言うと、人間の記憶にも限界はあります。しかし、USBメモリのように「満杯になったら古い記憶を消す」という仕組みではありません。

人間の記憶は、コンピュータよりもずっと複雑です。

脳は「容量いっぱい」にはならない

私たちは無限に何でも覚えられるわけではありません。 しかし、「あと1GBしか空いていない」といった形で、脳の空き容量が減っていくわけでもありません。 新しいことを覚えたからといって、その分だけ昔の記憶が自動的に削除されるわけではないのです。
人間の記憶は、USBメモリというより、巨大な図書館をイメージすると分かりやすいでしょう。
よく使う本はすぐに見つけられます。
一方、何十年も読んでいない本は、どこに置いたのか分からなくなる。

人間の記憶も、これに少し似ています。

「忘れた」=「消えた」とは限らない

たとえば、小学校のクラスメートを思い出してみてください。
当時は全員の名前を覚えていたはずなのに、今では何人かしか思い出せないことがあります。

では、その記憶は完全に消えてしまったのでしょうか。
ところが、卒業アルバムを見ると、「そうそう、この人いた!」と思い出すことがあります。
つまり、記憶そのものがなくなったのではなく、その記憶を取り出すための道が弱くなっていた可能性があるのです。 人間の記憶では、「覚える力」だけでなく「思い出す力」も重要です。

一度に覚えられる量には限界がある

ただし、人間の記憶の中でも、限界が比較的はっきりしているものがあります。
それが「ワーキングメモリ」です。
ワーキングメモリとは、一時的に情報を頭の中に置いておく仕組みです。

たとえば電話番号を聞いて、スマートフォンに入力するまでの数秒間だけ覚えておく。こうした場面で使われています。ところが、一度にたくさんのことを言われると、「最初に何をするんだっけ?」となることがあります。
これは頭が悪いからではありません。ワーキングメモリで一度に扱える情報には限界があるからです。

コンピュータにたとえるなら、ワーキングメモリはRAM、長期記憶はストレージのような関係です。

人間はすべてをそのまま保存していない

さらに面白いのは、人間は経験したことを動画ファイルのように丸ごと保存しているわけではない、ということです。 昨日一日の出来事を思い出してみても、見たもの、聞いた音、会話の内容をすべて完全に再生することはできません。 人間は、出来事の中から重要な部分や意味、印象などを抜き出して覚えています。
いわば、情報を圧縮して保存しているようなものです。

そのため時間がたつと細かい部分が抜けたり、別の記憶と混ざったりすることがあります。

記憶力には個人差がある

「記憶力がいい人」と「覚えるのが苦手な人」がいるのも事実です。
ただし、これは単純に「脳の容量が大きい・小さい」という話ではありません。
顔を覚えるのが得意な人もいれば、数字に強い人、道を覚えるのが得意な人もいます。
さらに、自分がよく知っている分野ほど、新しいことを覚えやすくなります。
たとえば車が好きな人なら、車種の違いをすぐ覚えられるでしょう。

これは、すでに持っている知識と新しい情報を結び付けられるからです。
つまり記憶力の良い人は、単純にたくさん保存できるのではなく、情報を整理するのが上手な場合も多いのです。

記憶力は鍛えられるのか

では、記憶力は鍛えられるのでしょうか。
答えは、ある程度は鍛えることができます。
ただし、「脳の容量を100GBから200GBに増やす」という意味ではありません。
情報の整理方法や思い出し方を工夫することで、実際に使える記憶力を高めることができます。

たとえば、「149217761945」という数字をそのまま覚えるのは大変です。
しかし、「1492・1776・1945」と意味のあるまとまりに分ければ覚えやすくなります。
このように情報をまとまりにして覚える方法を「チャンク化」といいます。
新しい情報をすでに知っていることと関連付けたり、何度も思い出したりすることも有効です。

私たちはどう考えればいいのか

人間の脳にも記憶の限界はあります。
しかし、その仕組みはUSBメモリとは大きく違います。
「容量がいっぱいだから覚えられない」というより、うまく覚えられていない、整理できていない、思い出せないということのほうが重要なのです。
ですから、「もっとたくさん覚えなければ」と考えるよりも、「どうすれば覚えやすく、思い出しやすくできるだろう」と考えるほうが、人間の記憶の仕組みに合っています。

そして、ここでもう一つ疑問が出てきます。
記憶力は、睡眠や食事、運動などの生活習慣によって変わるのでしょうか。
実は、ここにも大きな関係があります。

次の記事では、「記憶力と生活習慣の関係」について見ていきます。

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