「0%」と言っていたはずでは?
「食料品の消費税を2年間0%にする」
2026年の衆議院選挙で、自民党はこの公約を掲げました。
しかし、その後の議論では、食料品の消費税を1%に引き下げる案が示され、ニュースでも大きく報じられています。 もちろん、この案は現時点では正式決定ではありません。
それでも、多くの人が同じ疑問を感じたのではないでしょうか。
「0%と言っていたのに、なぜ1%になったの?」
0%が難しい理由は以前から分かっていた
政府側は、0%ではなく1%とする理由として、税収の減少や、レジ・POSシステム、会計システムなどの改修期間を挙げています。 また、0%にするには約1年、1%なら約半年程度の準備期間が必要という説明もされています。 しかし、ここで疑問があります。
これらの問題は、選挙が終わってから突然分かったことなのでしょうか。
食料品の消費税を0%にした場合、どれだけ税収が減るのかは、事前に試算できたはずです。 レジや会計システムにどのような影響が出るのかについても、公約を作る段階で調査できたはずでしょう。
問題は「難しかったこと」ではない
今回の問題は、0%の実施が難しかったことではありません。
難しいと分かっていたはずの政策を、なぜ公約として掲げたのか。
ここが最も重要な点です。
十分な調査をせずに0%を掲げたのであれば、公約を作る過程に問題があります。 一方で、税収やシステム上の問題を理解しながら、選挙では分かりやすい0%を掲げたのであれば、それは有権者に対して誠実な説明だったのでしょうか。 どちらにしても、自民党には説明する責任があります。
公約は投票先を決める判断材料
公約は法律ではありません。 社会情勢が変われば、政策を見直さなければならない場合もあります。
しかし、公約は単なる目標でもありません。
有権者は、それぞれの政党が掲げる公約を比較して、投票先を決めます。
「この政策を実現してほしい」
そう考えて、一票を投じた人もいるでしょう。 だからこそ、公約を変更するのであれば、単に「検討した結果、1%になりました」と説明するだけでは不十分です。
なぜ変更するのか。
公約を掲げた時点では、どのような見通しだったのか。
事前の検証に問題はなかったのか。
そこまで説明して初めて、国民は判断できます。
企業なら「できませんでした」では済まない
企業同士の取引で考えてみましょう。
実現できるかどうかを十分に確認せず、大きな約束をして契約を結び、後から「やはりできませんでした」と内容を変更すれば、大きな問題になります。
場合によっては、信用を失うだけでなく、損害賠償や訴訟に発展することもあります。
もちろん、政治と企業の契約をまったく同じものとして扱うことはできません。 それでも、約束をする側には、その約束を実現できるか事前に確認する責任があるという点は共通しています。
選挙の公約だけが、実現できなくても「事情が変わりました」で済まされてよいのでしょうか。
問われているのは0%と1%の差ではない
今回問われているのは、0%と1%のどちらが正しいかではありません。
消費者が支払う金額だけを見れば、0%と1%の差は小さいと感じる人もいるでしょう。
しかし、公約という点では大きな違いがあります。 0%を掲げて選挙を行った以上、1%へ変更するなら、その理由を国民にきちんと説明しなければなりません。
問われているのは、「選挙で掲げる公約は、どこまで事前に検証されているのか」
そして、「公約を変更するとき、政治はどこまで責任を負うのか」ということです。
公約を信じて投票できる政治に
有権者に対して、公約をすべて疑って見るよう求めるのは、本来おかしな話です。
実現できる根拠を示し、実現できなかった場合には理由を説明する。
それは、約束をした政治の側が果たすべき責任です。
今回の問題を「0%が1%になっただけ」と片付けてはいけません。
選挙で示された約束が、どれほど重く扱われているのか。
国民が公約を信じて投票できる政治になっているのか。
自民党には、その疑問に正面から答える説明が求められています。



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