子どものSNS利用を、法律で年齢制限するべきなのでしょうか。 2026年8月29、30日に朝日新聞社が実施した全国世論調査では、子どものSNS利用について、法律で年齢制限を「設ける必要がある」と答えた人は64%でした。 一方、「SNSは子どもの心や体に悪い影響がある」と答えた人は84%です。
つまり、
「悪影響がある」84%
「法律で年齢制限が必要」64%
と、約20ポイントの差があります。
ここから見えてくるのは、「SNSには問題がある。でも、法律で一律に禁止するのが正解なのか」という疑問です。
SNSに問題があることと、禁止することは別
子どものSNS利用については、長時間利用による睡眠不足、依存、誹謗中傷、他人との比較による精神的負担などが指摘されています。
現在、多くのSNSには「13歳以上」などの利用規約がありますが、年齢確認は自己申告が中心です。
そのため、ルールはあっても実際には簡単に突破できてしまいます。
だからこそ法規制を求める声が出るのですが、ここで考えたいのが、
子どもを守る方法は「使わせないこと」だけなのかという点です。
16歳になったら突然自由でいいのか
海外でも同じ議論があります。 英国では、16歳未満のSNS利用を一律に制限した場合、16歳になった瞬間にSNSを自由に使えるようになる「崖」の問題が指摘されています。
SNSの危険性をほとんど経験せずに育った子どもが、年齢だけを理由に突然自由になっても、安全に使えるとは限りません。 これは車の運転と似ています。
年齢になるまで何も教えず、誕生日を迎えた瞬間から自由に運転させるわけではありません。
交通ルールを学び、練習し、少しずつ経験を積みます。
SNSにも同じ発想が必要なのではないでしょうか。
SNSそのものではなく「危険な機能」を制限する
英国の調査では、16歳未満のSNS全面禁止に賛成した若者は少数でした。 一方で、無限スクロールなど、長時間利用につながりやすい機能への制限には比較的多くの支持が集まりました。
ここに一つのヒントがあります。
子どもをSNSから追い出すのではなく、SNSを子ども向けに変える。
という考え方です。
たとえば小学生なら、アカウントを非公開にする。知らない人からのDMは禁止する。夜間の通知を止める。 利用時間に制限を設ける。
中学生になれば少し自由度を上げ、高校生になればさらに本人の判断に任せていく。 年齢と経験に応じて、段階的に自由度を上げる方法です。
「親が管理すればいい」だけでも難しい
もちろん、子どものSNSは家庭で管理すればよいという考え方もあります。
しかし、SNSの仕組みはかなり複雑です。 おすすめを決めるアルゴリズム、位置情報、広告、DM、生成AIによるコンテンツなど、親自身がすべて理解しているとは限りません。
家庭によって、知識や子どもを見守れる時間にも差があります。
つまり、法律だけでも、家庭だけでも、SNS企業だけでも解決できないということです。
学校でSNSの使い方を教える
そこで必要になるのが、デジタルリテラシー教育です。
たとえば、
「なぜこの動画がおすすめされたのか」
「なぜ何時間も見続けてしまうのか」
「炎上したらどうするのか」
「知らない人からDMが来たらどうするのか」
「SNSの情報は本当に正しいのか」
こうしたことを学校や家庭で教えていきます。
SNSを遠ざけるだけではなく、危険を理解したうえで使える力を育てるわけです。
SNSには「居場所」という側面もある
SNSには危険だけではなく、良い面もあります。
友人との交流、情報収集、学習、趣味の共有などです。
現実の世界で孤立している子どもにとっては、オンライン上のコミュニティが大切な居場所になることもあります。 そのため、「危険だから禁止すればいい」というほど単純ではありません。
私たちはどう使えばいいのか
理想的なのは、「禁止する」か「自由に使わせる」かの二択ではないでしょう。
年齢確認をする。
年齢によって利用できる機能を変える。
SNS企業には依存につながる仕組みへの対策を求める。
家庭では使い方を話し合う。
学校ではSNSの仕組みや危険性を教える。
そして、年齢と経験に応じて少しずつ自由度を上げていく。
禁止して守るのではなく、安全な環境で使わせながら、自分で判断する力を育てる。
SNSが社会に欠かせないものになった今、本当に考えるべきなのは、「何歳まで禁止するか」だけではありません。
「子どもがSNSと上手に付き合えるように、どう育てるか」なのではないでしょうか。



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