AIでプログラマーはいらなくなる?|それでも開発の仕事がなくならない理由

AIと未来

「AIがプログラムを書けるなら、そのうちプログラマーはいらなくなる」
そう言う人もいます。 実際、生成AIはコードを書くだけでなく、エラーの修正やテスト、プログラムの説明までできるようになっています。

では、今からプログラミングを勉強する意味はないのでしょうか。 実はそこまで単純な話ではないと思っています。 確かにAIによってプログラマーの仕事は大きく変わります。 しかし、「仕事の一部をAIができる」ことと「プログラマーという職業がなくなる」ことは別の話です。

AIの影響を受けるのはプログラマーだけではない

まず考えたいのは、AIによって仕事が変わっているのはプログラマーだけではないということです。 事務なら文章作成や集計、営業なら提案書作成や顧客分析、経理ならデータ処理、デザイナーなら画像作成など、さまざまな仕事にAIが入ってきています。 プログラマーが特に危なく見えるのは、AIが人間の代わりにコードを書いている様子が分かりやすいからでしょう。

しかし、AIの影響を受ける職業と、なくなる職業は同じではありません。 世界経済フォーラム(WEF)の「Future of Jobs Report 2025」でも、AIなどによる大きな雇用変化を予測する一方、ソフトウェア・アプリケーション開発者は2030年までの成長率が高い職種の上位に入っています。

プログラマーの仕事はコードを書くことだけではない

そもそもシステム開発は、
課題を聞く → 要件を決める → 設計する → コードを書く → テストする → 導入する → 改善する
という流れで進みます。 AIが急速に得意になっているのは、この中でもコード作成や修正などの部分です。 何を作るべきなのか。 現場の問題をどう解決するのか。 AIが作ったシステムは正しく、安全に動くのか。 こうした判断まで含めてシステム開発です。
つまり、「AIがコードを書ける=開発者が必要なくなる」ではありません。

もちろん、必要な人数が減る可能性はある

ここは無視できません。 例えば、これまで10人必要だった開発を、AIを使うことで7人や5人でできるようになる可能性はあります。 特に「決められた仕様どおりにコードを書く」ことだけを仕事にしている人には、大きな影響があるでしょう。

では、やはりプログラマーは減っていくのでしょうか。
ここで重要なのが、1つのシステムを作るために必要な人数だけで考えないことです。

300万円なら諦める。でも100万円なら?

分かりやすくするため、仮の数字で考えてみましょう。
ある会社が業務をシステム化したいと考え、開発会社に相談したところ、「300万円かかります」と言われたとします。 「便利になるのは分かる。 でも300万円なら、今まで通りExcelで頑張ろう」そう判断する企業もあるでしょう。

ところがAIによって開発効率が上がり、仮に同じ目的を実現するシステムを100万円で作れるようになったとしたらどうでしょう。 「100万円なら導入しよう」という企業が出てきます。 つまりAIは、開発会社の仕事を効率化するだけでなく、今まで予算の問題でシステム化できなかった企業を、新しい顧客にする可能性もあるのです。

単価が下がっても受注数が増える

さらに仮の例を続けます。 これまで、「300万円 × 10件 = 3,000万円」だった開発会社があるとします。 AIによって効率化され、「100万円 × 40件 = 4,000万円」になったらどうでしょう。

1件あたりの金額は下がっています。 しかし、これまで予算が合わなかった企業からも依頼が来るようになれば、作るシステムの数は10件から40件に増えます。 もちろん、この数字は説明のための仮定で、実際に4倍になるという意味ではありません。
重要なのは、「1件あたりの仕事量が減る」ことと「業界全体の仕事量が減る」ことは同じではないということです。

DXやAI導入で「作る仕事」そのものも増えている

さらに現在は、企業がITを必要とする場面自体が広がっています。 DX、業務自動化、クラウド化、データ活用、生成AI導入、既存システムとのAI連携、セキュリティ対策などです。

IPAの「DX動向2026」でも、日本企業ではDXが普及し、AI導入も着実に広がっていることが報告されています。 調査ではDX・AIを進める人材の不足についても分析されています。

考えてみれば、会社にAIを導入すること自体にも仕事が必要です。 社内データとどうつなぐのか。既存システムとどう連携するのか。 個人情報は大丈夫なのか。 AIが間違えた場合はどうするのか。
AIが普及することで、新しいITの仕事も生まれているわけです。

実際、米国労働統計局(BLS)はソフトウェア開発者の雇用を2024年から2034年に約16%増加すると予測しています。 その理由として、AI、IoT、ロボットなどのソフトウェア開発需要の拡大を挙げています。

なくなるのではなく「求められる人」が変わる

だからといって、今までと同じ勉強をしていれば安心という意味ではありません。
これから厳しくなるのは、「言われた通りにコードを書くだけの人」かもしれません。
これからは、業務を理解する+設計する+プログラミングを理解する+AIを使う+AIの結果を判断するという力が重要になります。 つまり、プログラマーが絶滅するというより、求められるプログラマーの姿が変わっていくと考えた方がよさそうです。

「AIに奪われない仕事」を探すのではない

AIによって仕事が変わるのはプログラマーだけではありません。 これから社会に出る学生が考えるべきなのは、「AIに奪われない職業はどれだろう?」ではなく、「自分の仕事にAIが入ってきたとき、自分はAIを使う側になれるだろうか?」ではないでしょうか。

AIによって、1件のシステム開発に必要な人手は減るかもしれません。 一方で、開発コストが下がれば、これまでシステム化できなかった仕事まで対象になります。 さらにDXやAI導入が進めば、ITで解決したい仕事の絶対量そのものも増えていきます。
だから、「AIがコードを書くようになった=プログラマーはいらなくなる」ではありません。
変わるのは、プログラマーが必要かどうかではなく、プログラマーに何が求められるのかではないでしょうか。

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