「なぜ企業は、面接で人柄まで細かく見るのでしょうか」
技術や資格だけで判断してもよさそうに思えますが、企業にとって採用は大きな投資です。
費用や時間がかかるうえ、一度採用すると簡単にはやり直せません。
企業側の事情を知ると、「相手が何を不安に感じ、何を確認したいのか」が分かり、就職活動でどんな準備をすればよいかも見えてきます。
今回は、採用にかかる費用や日本の雇用制度を通して、企業が採用に慎重になる理由を考えてみます。
採用活動には想像以上のお金がかかる
「求人を出せば応募が来る。」そんなイメージを持っている人もいるかもしれません。
しかし実際には、人を一人採用するだけでも、多くの費用がかかります。
例えば企業は、
・求人サイトへの掲載 ・合同企業説明会への参加 ・自社説明会の開催
・パンフレットや採用動画の制作 ・適性検査 ・面接
・人事担当者の人件費 ・内定者フォロー ・入社後の研修
など、採用活動だけでも多くの時間と費用をかけています。
新卒1人を採用する場合のおおよその費用
| 内容 | 費用の目安 |
|---|---|
| 求人サイト掲載 | 30~150万円 |
| 合同企業説明会 | 20~100万円 |
| 自社説明会・会社案内 | 数万円~数十万円 |
| 適性検査・選考 | 数千円~数万円 |
| 面接・人事担当者の人件費 | 数十万円 |
| 内定者フォロー・研修 | 数十万円 |
企業や業種によって異なりますが、
新卒1人を採用するために100〜300万円程度かかることも珍しくありません。
大企業では500万円以上になるケースもあります。
つまり採用とは、企業にとって大きな投資なのです。
採用に失敗すると、さらに大きな損失になる
もし採用した社員が、
・数か月で退職してしまう
・周囲とうまく協力できない
・指導しても改善しない
となったらどうでしょうか。
企業は、
・採用にかけた費用
・教育や研修にかけた費用
・給与
・指導した先輩社員の時間
そのすべてを失うことになります。
さらに、新しい人を採用するために、また最初から採用活動を始めなければなりません。 つまり採用に失敗すると、お金だけではなく、時間や職場全体の生産性にも大きな影響を与えてしまうのです。
だから企業は、「採用は失敗できない」と考えています。
日本では簡単に社員を解雇できない
企業が慎重になる理由は、もう一つあります。
それは、日本では一度採用した社員を簡単には解雇できないということです。 労働契約法では、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められない解雇は無効とされています。
つまり、「思っていた人と違ったから辞めてもらおう」という理由だけでは解雇できません。
だから企業は、採用前にできる限り、「この人は本当に自社に合うだろうか」を慎重に見極めようとするのです。
だから企業は技術だけでなく「人柄」も見る
技術や知識は、入社してから学ぶこともできます。
しかし、誠実さ、責任感、協調性、コミュニケーション能力、学ぶ姿勢
こうした人としての土台は、短期間で身につくものではありません。
企業が面接で見ているのは、「この人と安心して一緒に働けるか」ということです。
だから、コミュニケーション能力、協調性、約束を守る姿勢、主体性といった点が重視されるのです。
学校生活も将来の評価につながる
企業は学校生活そのものを評価しているわけではありません。
しかし、
・遅刻が多い
・提出期限を守れない
・人の話を聞かない
・返事をしない
・指摘されても改善しようとしない
こうした日頃の行動は、「社会人になってからも同じような行動をするかもしれない」という判断材料になります。 もちろん、一度失敗しただけで評価が決まるわけではありません。
大切なのは、改善しようとする姿勢や、成長しようとする姿勢です。
企業は、その人の「今」だけではなく、「将来どのように成長してくれるか」も見ています。
企業が本当に見ているもの
ここまで読んで、「企業は厳しいな」と感じた人もいるかもしれません。
しかし私は、企業は学生を疑っているのではないと思っています。
企業は、多くの費用と時間をかけて採用活動を行います。
だからこそ、「この人なら安心して一緒に働ける」という確信がほしいのです。
採用担当者は、「失敗しない人」ではなく、「信頼できる人」を探しているのだと私は考えています。
まとめ
企業が採用に慎重になるのには、明確な理由があります。
- 採用活動には100〜300万円以上かかることもある
- 採用は企業にとって大きな投資である
- 採用に失敗すると、お金・時間・人材育成のすべてが無駄になる
- 日本では簡単に社員を解雇できない
- だから企業は、技術だけでなく人柄や信頼性も重視している
企業側の事情を知ると、「なぜ面接でこんなことを聞かれるのか」「なぜコミュニケーション能力や協調性が大切なのか」が見えてきます。
就職活動は、自分を良く見せることだけが目的ではありません。
企業が安心して「この人と一緒に働きたい」と思えるよう、自分の姿勢や日頃の行動を見直すことも、大切な準備の一つなのです。


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