ニチレイのビジネスモデル|サイバー攻撃で見えた食品物流システムの仕組み

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2026年7月、ニチレイグループがサイバー攻撃を受け、冷蔵倉庫の入出庫や冷凍食品の出荷に影響が出ました。 ニチレイと聞くと、チャーハンや唐揚げなどの冷凍食品メーカーを思い浮かべる人が多いでしょう。しかし今回影響を受けたのは、ニチレイの商品だけではありません。外食店、スーパー、食品メーカー、給食などにも影響が広がりました。
なぜ、ニチレイとは別の会社の商品まで届かなくなったのでしょうか。

ニチレイは物流会社でもある

ニチレイは冷凍食品を製造・販売するだけでなく、他社の商品を冷凍・冷蔵倉庫で預かり、仕分けや配送を行う「低温物流事業」を展開しています。 食品メーカーや外食企業から依頼を受け、商品の保管、在庫管理、出荷、配送などを行い、そのサービス料金を受け取るビジネスモデルです。
そのため、商品名にニチレイと書かれていなくても、ニチレイの倉庫や配送網を通って店頭に並ぶ商品があります。

なぜ物流を専門会社に任せるのか

冷凍・冷蔵商品を扱うには、大型倉庫、冷却設備、冷凍トラック、仕分け設備、管理システムなどが必要です。 食品メーカーがこれらをすべて自社で用意すると、大きな費用がかかります。そこで、設備と全国的な物流網を持つニチレイなどの専門会社へ、保管や配送を委託します。

ニチレイ側も、複数企業の商品を同じ倉庫やトラックで扱うことで、設備を効率よく利用できます。
近年はトラック運転手の残業時間を規制する「物流の2024年問題」やドライバー不足、物流コストの上昇もあり、複数企業の商品をまとめて運ぶ共同配送の重要性が高まっています。

ただし、2024年問題が今回のサイバー攻撃を引き起こしたわけではありません。物流を大手企業へ集約する動きが進み、1社の障害が広い範囲へ影響しやすくなっていたという関係です。

食品物流を動かすシステム

食品が製造されてから店頭に並ぶまでには、入庫、在庫登録、受注、出荷指示、仕分け、配送といった多くの工程があります。 具体的な商品の流れは、次の図のようになります。

図を見ると、食品物流は倉庫やトラックだけが動いているのではないことが分かります。
倉庫管理システムでは、次のような情報を管理しています。
 ・商品名や商品コード
 ・在庫数
 ・倉庫内の保管場所
 ・入庫日や賞味期限
 ・冷凍・冷蔵などの温度区分
 ・注文した企業や店舗
 ・出荷する数量
 ・配送先や配送予定日

スーパーなどから注文が入ると、システムが対象の商品を特定し、倉庫の作業員へ出荷指示を出します。商品は店舗ごとに仕分けされ、冷凍・冷蔵トラックで配送されます。

なぜシステムが止まると商品を出せないのか

倉庫に商品が残っていても、システムが使えなければ、どの商品がどこにあり、何個出荷すればよいのか確認できません。 食品では、賞味期限や保存温度も正確に管理する必要があります。 大量の商品を人の記憶や紙だけで探し、間違いなく出荷するのは現実的ではありません。

今回確定しているのは、ニチレイがサイバー攻撃を受け、冷蔵倉庫の入出庫や冷凍食品の出荷に影響が出たことです。 一方で、侵入経路、使用されたマルウェア、ランサムウェアだったのか、攻撃者が誰なのかといった詳しい手口は、現時点では確定していません。

効率化によって生まれた集中リスク

物流を一つの大手企業へ集約すると、倉庫やトラックを効率よく利用でき、物流コストも抑えやすくなります。 しかし、その企業のシステムが停止した場合、物流を委託している多くの企業へ同時に影響が広がります。これは、一つの会社やシステムへの依存度が高まる「集中リスク」です。

さいごに

今回のサイバー攻撃は、現代の物流が、単に商品を運ぶ仕事ではなく、大量の情報を処理するITシステムによって支えられていることを示しました。 商品、倉庫、トラックが存在していても、それらを動かす情報が使えなければ、物流は止まります。

ニチレイは冷凍食品メーカーであると同時に、日本の食を支える物流インフラの一部でもあります。今回の出来事は、便利で効率的な仕組みほど、システム障害に備えた代替手段や分散の考え方が重要になることを教えてくれました。

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