言語化力は昔から大事だった。でも、今は“中身”が違う?
「言語化力(げんごかりょく)」という言葉は昔からあります。
「自分の気持ちを伝える」「説明がうまい」「論理的に話せる」など、
人間関係や仕事、学習のあらゆる場面で重視されてきました。
でも最近、「AI時代の言語化力が大切だ」と言われるようになってきました。
それはどうしてでしょう?
従来の言語化力と、AI時代の言語化力は「目的」が違う
まず押さえておきたいのは、何のために言語化するかという視点です。
項目 | 従来の言語化力 | AI時代の言語化力 |
---|---|---|
主な目的 | 人に伝える/説得する | AIに伝える/動かす(+人にも伝える) |
相手 | 会話・文章での“人間” | AIツール・チャットAI・自動処理システム |
重視されること | 丁寧さ/表現の工夫/話し方 | 明確さ/前提条件の整理/目的設定 |
評価の基準 | わかりやすい、納得できる | AIが「正しく動く」かどうか |
AI時代の言語化は、「うまく伝わったか」ではなく、
「ちゃんと伝えた結果が出たか」=成果重視なのが特徴です。
キーワードは「プロンプト力」と「構造化」
🟠 プロンプト力とは?
ChatGPTなどに**「どんな質問・指示を出すか」**を考える力。
例えれば「質問の設計図づくり」です。
- ❌悪い例:面接のアドバイスちょうだい
- ✅良い例:高校3年生でIT系志望、自己PRで使える強みを3つ、200文字以内で
このように、具体的で整理された情報を渡すことが、
AIに伝わる“新しい言語化力”です。
🟠 構造化とは?
考えを「要素ごと」に整理する力です。
従来の話し方だと「感覚的」「なんとなく」で済んでいたことも、
AIに伝えるには論理的な分解が必要です。
たとえば:
🗨️「アプリを作りたい」
→ どんなアプリ?誰向け?目的は?必要な機能は?
こうした“頭の中のもやもや”を整理して言葉にできる力が求められます。
「わかりやすく話せる人」が強い時代から、「設計できる人」が強い時代へ
これからは、
- 説明がうまい人
- 表現が豊かな人
だけでなく、
👉「考えを言語で分解し、設計図のように伝えられる人」
が強い時代になっていきます。
これは、話し方や書き方のテクニックではなく、
思考の深さと整理力そのものなのです。
教育でも言語化の“質”が変わってきている
かつての「国語力」「作文力」は表現や感情の伝え方が中心でした。
しかし今は、以下のような力が求められるようになっています。
- 主張 → 理由 → 具体例 のような論理構成
- データや事実を使った根拠ある説明
- 複雑な問題を言葉で分解し、再構築する思考力
これらはすべて、AIを使いこなす力ともつながっているのです。
🌱まとめ:言語化力の“アップデート”が必要な時代
- 昔の言語化=人にうまく伝える力
- 今の言語化=AIにも正しく伝え、動かす力
- キーワードは「プロンプト力」「構造化」「問いの設計」
▶ 次回予告|シリーズ第4回
👉 「AIに伝わる言葉、伝わらない言葉|良い問いの作り方」
AIにうまく指示できない原因は、言葉の設計にある?
プロンプト例を交えて「伝える技術」の実践編を解説します!
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