最近、企業から個人情報が漏えいするニュースが相次いでいます。 メールアドレスやパスワードだけでなく、運転免許証の画像など、悪用されると深刻な被害につながる情報まで流出するケースが報じられています。 こうしたニュースを見ると、「なぜ企業は情報を守れないのだろう」と疑問に思うかもしれません。
その背景を考えるうえで、いま注目されているのがAIの存在です。 AIは仕事を便利にする技術ですが、サイバー攻撃にも悪用できてしまいます。 では、AIによって何が変わるのでしょうか。
ローカルAIとは何か?
私たちが普段利用しているChatGPTなどは、基本的にインターネットを通じて外部のサーバーで処理を行います。これをクラウドAIと呼びます。
一方、ローカルAIは、自分のパソコンや会社のサーバーで動かすAIです。

ローカルAIでは、一度必要な環境を整えれば、インターネットに接続せずに利用することもできます。 社外にデータを送らずに処理できるため、企業の機密情報を扱う用途にも適しています。
ただし、ローカルAIにはもう一つの特徴があります。 公開されているAIモデルの中には、利用者が設定や動作を調整できるものがあるのです。 これは便利な仕組みですが、悪意を持った人が利用すれば、危険な目的に使われる可能性もあります。
AIはサイバー攻撃にどう使われる?
例えば、企業のシステムに弱点がないか調べる作業を考えてみましょう。 これまでは、プログラムやネットワークについて専門的な知識が必要でした。 ところがAIを使えば、プログラムの分析や問題点の発見、関連する情報の整理などを支援してもらえます。 これらは本来、システムを安全にするためにも使える技術です。しかし、攻撃者が利用すれば、弱点を探す作業にも役立ってしまいます。
さらに、大量の情報を短時間で分析したり、作業の一部を自動化したりすることも可能です。

つまり、これまで人間が時間をかけて行っていた作業の一部を、AIに任せられるようになったのです。 もちろん、AIがあれば誰でも簡単に企業のシステムへ侵入できるわけではありません。 それでも、攻撃に必要な知識や作業の負担を減らせることは、大きな変化といえるでしょう。 なお、最近の個別の情報漏えい事件でローカルAIが使われたかどうかは、確認された事実と可能性を分けて考える必要があります。
サイバー攻撃のハードルが下がる?
これまで高度なサイバー攻撃には、豊富な知識と経験が必要でした。 しかし、AIがその一部を補えるようになると、経験の浅い人でも、以前より複雑な作業に取り組みやすくなります。
もう一つ重要なのが、作業の速さです。 人間には休息が必要ですが、コンピューターは条件が整えば長時間処理を続けられます。 AIと自動化技術を組み合わせれば、攻撃の準備や分析を効率化できる可能性があります。 攻撃者の人数が増えなくても、一人当たりが実行できる作業量が増えるかもしれないのです。
攻撃側だけでなく、防御側もAIを使う
では、企業はどうすればよいのでしょうか。 ここで重要なのは、AIを使えるのは攻撃者だけではないということです。 企業もAIを活用して、プログラムの弱点を調べたり、大量の通信記録から不審な動きを発見したりできます。
例えば、普段は国内からしかアクセスされないシステムに、突然海外から大量のアクセスが発生した場合、異常を検知する仕組みが役立ちます。 もちろん、こうした検知は従来のセキュリティ製品でも行われてきました。AIは、その分析や判断をさらに支援する技術です。
ただし、AIを導入すれば、それだけで安全になるわけではありません。 ソフトウェアの更新、多要素認証、アクセス権限の管理など、基本的な対策が重要であることは変わりません。
侵入されることも想定して守る
もう一つ、企業に必要なのが、万一侵入された場合の対策です。 どれほど強固なセキュリティ対策を行っても、侵入の可能性を完全になくすことはできません。 だからこそ、侵入された後に被害が広がらない仕組みが必要です。
例えば、運転免許証の画像などの重要な個人情報を、誰でもアクセスできる場所に保存してはいけません。 そもそも保存し続ける必要があるのかを検討し、必要な場合でも、アクセスできる人を制限する。保存先を分けたり、暗号化したりすることも有効です。 これは、現金をすべてレジに置いておかず、必要な分だけ残して金庫で管理する考え方に似ています。

「侵入を防ぐことと、侵入されても被害を最小限に抑えること」
この二つを組み合わせることが大切なのです。
まとめ|AI時代は守る力も進化させる
AIの進化によって、サイバー攻撃に必要な作業の一部は、これまでより簡単に、短時間で行えるようになりつつあります。 しかし、AIそのものが悪いわけではありません。ローカルAIも、正しく使えば仕事の効率化や情報保護に役立つ技術です。
大切なのは、便利な技術には悪用される可能性もあると理解することです。 企業は基本的なセキュリティ対策を徹底し、必要に応じてAIも活用する。 個人もパスワードの使い回しを避け、不審なメールや偽サイトに注意する。 AIによって攻撃する力が高まるのであれば、私たちも守る力を高めていかなければなりません。 これから必要なのは、AIを恐れることではなく、その可能性と危険性を正しく理解し、使いこなすことではないでしょうか。


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