IPAのデジタルバッジとは?|資格は就活で本当に役に立つのか

ITリテラシー・スキル

「ITパスポートに合格すると、デジタルバッジがもらえるらしい」
そんな話を聞いたことがある人もいるかもしれません。 正確には、IPAがITパスポート合格者に直接デジタルバッジを発行しているわけではありません。 IPAのFAQでも、ITパスポート試験そのものではデジタルバッジを発行していないと説明されています。

一方で、IPA、データサイエンティスト協会、日本ディープラーニング協会の3団体で構成するデジタルリテラシー協議会が、「DX推進パスポート」というデジタルバッジを発行しています。
では、このバッジは何のためにあるのでしょうか。
そして、そもそも資格は就職活動で本当に役に立つのでしょうか。

DX推進パスポートとは

DX推進パスポートは、DXを進めるために必要な基本的なデジタルスキルを持っていることを示すデジタルバッジです。

対象となるのは以下の3つです。
 ☛ ITパスポート試験
 ☛ G検定
 ☛ DS検定 リテラシーレベル
このうち1つに合格すると「DX推進パスポート1」、2つなら「DX推進パスポート2」、3つすべてに合格すると「DX推進パスポート3」を申請できます。

ITパスポートについては、2021年4月以降の合格者が対象となっています。

デジタルバッジにはどんな意味があるのか

デジタルバッジは、単なる画像ではありません。 資格や学習履歴をオンライン上で確認できるデジタル証明です。 取得したバッジは、オープンバッジウォレットで管理したり、メールやSNSなどで共有したりできます。 DX推進パスポートは国際標準規格に沿ったオープンバッジとして運用されています。

つまり、「私はこの資格を持っています」と自分で書くだけではなく、「これがその証明です」と見せやすくなったわけです。 資格そのものが変わったというより、資格を「見える化」する仕組みが加わったと考えると分かりやすいでしょう。

補足:オープンバッジウォレットとは?

オープンバッジウォレットとは、取得したデジタルバッジを保管・管理するためのオンライン上の仕組みです。 イメージとしては、紙の資格証をファイルに保管する代わりに、デジタル上で資格や学習実績をまとめて管理する「デジタル資格証入れ」のようなものです。 バッジには、発行した団体や取得内容などの情報が紐づいているため、単なる画像ではなく、取得実績を確認しやすいという特徴があります。 必要に応じて、就職活動やSNS、オンラインプロフィールなどで共有することもできます。

面接で役に立つのか

では、DX推進パスポートを持っていれば就職活動で有利になるのでしょうか。
ここは少し冷静に考える必要があります。 デジタルバッジを持っているだけで採用が決まるわけではありません。 企業は面接で、資格だけでなく、人柄やコミュニケーション力、専門知識、経験などを総合的に見ています。

それでも、「ITパスポートを取得しました」だけで終わるより、「ITパスポートを取得し、DX推進パスポートも取得しました。次はAIについて勉強するためG検定にも挑戦しています」と話せれば、そこから話を広げることができます。

特に実務経験の少ない学生にとっては、自分が何を勉強してきたのかを説明する材料になります。

資格だけでは意味がない?

ここでよく聞くのが、「資格を持っていても仕事ができるとは限らない」という意見です。
これはその通りです。 ITパスポートを持っているからといって、システム開発ができるわけではありません。 しかし、「資格だけでは仕事ができない」ということと、「資格を取っても意味がない」ということは、まったく別の話です。 資格の価値は、そこで学んだ知識だけではないと思います。

資格取得は努力した証拠でもある

資格試験に合格するためには、ある程度の勉強が必要です。 問題文を読み、意味を理解し、知らないことを覚え、繰り返し問題を解く。 そして試験日まで勉強を続け、本番では時間内に問題を解かなければなりません。

そこには、
 ☛ 継続して努力する力
 ☛ 集中する力
 ☛ 文章を読み解く読解力
 ☛ 新しいことを覚える学習力
 ☛ 試験まで計画的に準備する力

などが必要になります。

つまり資格取得は、「この知識を持っています」という証明だけではなく、「目標に向かって勉強し、最後までやり切りました」という一つの実績でもあるわけです。 特に新卒採用では、学生にはまだ長い実務経験がありません。 その中で資格取得という結果があれば、少なくともその人が何かに取り組んだことを説明する材料になります。

資格は魔法のカードではない

もちろん、資格を取得すれば必ず就職できるということではありません。 資格は「魔法のカード」ではありません。 しかし、何もない状態と比べれば、自分を説明する材料が一つ増えます。

たとえば同じような条件の学生が二人いたとして、一人は特に資格を持っていない。 もう一人はITパスポートを取得するために勉強し、合格した。 少なくとも後者には、「なぜ資格を取ろうと思ったのか」「どのように勉強したのか」「苦手な分野をどう克服したのか」という面接で話せる経験があります。 資格の価値は、合格証そのものだけではないのです。

これからは資格+成果物

さらにこれから重要になるのは、資格を取って終わりにしないことだと思います。
たとえば、
 ☛ ITパスポートでITの基礎を学ぶ。
 ☛ DX推進パスポートで学習歴を見える化する。
 ☛ そしてAIを使った業務改善案やプログラム、プレゼン資料など、実際の成果物を作る。

こうすれば、「知っています」から、「学びました」
そして、「実際に使ってみました」まで説明できるようになります。

資格と実践を組み合わせることで、初めてその人の強みとして見えやすくなります。

資格取得は無駄ではない

資格だけで人の能力を判断することはできません。 しかし、資格を取るまでに積み重ねた努力まで無意味になるわけではありません。 勉強を続けたこと、知らないことを理解しようとしたこと、試験に向けて準備したこと、そして合格までやり切ったこと、それらも含めて資格取得の価値だと思います。

デジタルバッジは、その努力や学習歴をこれまでより見せやすくする仕組みです。 資格は就職を決めるものではありません。 でも、自分が何を学び、何に取り組んできたのかを伝えるための一つの材料にはなります。 だからこそ、特にこれから社会に出る学生には、「資格を取れば就職できる」ではなく、「資格取得までの努力も含めて、自分の成長を説明できるようにしよう」と伝えたいです。

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