「誤審も野球の一部」はもう限界?|ロボット審判を考える

AIと未来

私はもともと、野球の審判は人間がやる方がいいと思っていました。
審判も人間ですから、多少の間違いはある。
この審判はコースを広くとるんだーとか、それも含めて野球なのだろう、と考えていたからです。

ところが最近、野球中継を見ていると、その考えが少し変わってきました。
明らかにボールに見える球がストライクになったり、逆にストライクに見える球がボールになったりする。ハーフスイングでも「今のは振っていないだろう」と思うような判定が出ることがあります。

もちろん審判は一瞬で判断しなければなりません。難しい仕事であることは分かります。
しかし、こうした判定が何度も続くと、選手だけでなく、見ている側までしらけてしまいます。

一球の誤審が試合を変えてしまう

ボールとストライクの判定は、単なる一球の間違いではありません。
0ボール2ストライクになるのか、1ボール1ストライクになるのか。それだけで投手の配球も、打者の狙いも変わります。 本来なら三振だった打者が残り、そこからヒットが出て得点につながることもあるでしょう。
特に高校野球では、一つの判定が選手にとって最後の試合を左右する可能性さえあります。
そう考えると、「審判も人間だから仕方がない」で終わらせてよいのかという疑問が出てきます。

すでに「機械が判定する野球」は始まっている

実は海外では、すでに大きく動いています。
韓国プロ野球のKBOでは2024年からABS(自動ボール・ストライク判定システム)を導入しています。ボールの軌道を追跡してシステムがボールかストライクかを判断し、その結果を球審のイヤホンへ伝える仕組みです。

MLBでも2026年シーズンからABSチャレンジ制度が正式に始まりました。
こちらはすべての投球を機械に任せるのではなく、まず球審が判定します。そして打者、投手、捕手が判定に疑問を持った場合、ABSに確認を求める方式です。MLBではHawk-Eyeのトラッキング技術が使われています。
つまり、もはや「機械にストライクを判定できるのか」という段階ではありません。
どこまで機械に任せるのかを考える段階に来ているのです。

ボールとストライクは機械に任せてもいいのでは

ここまで技術が進んでいるなら、私はボールとストライクくらいは、最初から機械に任せてもいいのではないかと思うようになりました。

同じ場所を通った球が、あるときはストライク、別のときはボールになる。こうしたばらつきは、機械判定ならかなり減らすことができます。
もちろん、ストライクゾーンをどのような数値で設定するのかという問題はあります。
しかし、一度基準を決めれば、少なくともその基準を一貫して適用することはできます。
これはAIや機械が人間より「偉い」という話ではありません。
機械が得意な仕事は機械に任せればいいのではないか、という話です。

ハーフスイングも将来は対象になる?

一方で、ハーフスイングは少し事情が違います。
ストライクゾーンは位置を数値化できますが、「どこまでバットが出たらスイングなのか」という基準は、それほど明確ではありません。 つまり機械に判定させるためには、その前に人間側がルールを明確にする必要があります。 ただ、カメラによる動作解析技術が進めば、技術的にはこちらも自動判定できる可能性があります。
問題は「判定できるか」より、何をスイングと定義するのかなのかもしれません。

そして甲子園も変わり始めた

高校野球でも変化が始まっています。 日本高校野球連盟は、2026年夏の第108回全国高校野球選手権大会からビデオ検証を導入しました。本塁打、フォースプレー、タッグプレー、フェア・ファウルなどが検証対象となります。

現時点では、ボール・ストライクを機械が判定する仕組みではありません。
それでも、人間だけで判定する野球から、映像やデジタル技術で人間を補助する野球へ甲子園も確実に一歩進んだことになります。

人間の審判をなくす必要はない

私は今でも、人間の審判そのものが不要だとは思いません。 試合を進行し、選手とコミュニケーションを取り、危険なプレーに対応する。人間だからこそできる仕事はたくさんあります。
だからこそ、すべてを人間が判断する必要もないのではないでしょうか。
以前の私は「多少の誤審も含めて野球」と考えていました。
しかし、防ぐことのできる誤審によって選手が納得できず、観客までしらけてしまうのであれば、その考え方も変えていく必要があると思います。
人間を審判から追い出すために機械を使うのではない。
人間にしかできない仕事を任せるために、機械に任せられる判定は機械に任せる。

野球の審判も、そろそろそんな時代に入っているのかもしれません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました