第4回|ベンダーロックインとは何か?「便利」と「逃げられない」の関係

AIと未来

【AI時代のチップ入門|速さだけじゃない「本当の競争」】

このシリーズでは、AIを支えるチップの世界で、
今どんな競争が起きているのかを見ていきます。


前回は、なぜNVIDIAがAI時代の主役と呼ばれるようになったのかを整理しました。

  • GPUがAIと相性がよかった
  • 開発環境も整えてきた
  • 研究や教育の現場で広く使われるようになった

ここまで聞くと、「すごい会社だな」と思います。

でも、ここで一つの言葉が出てきます。

ベンダーロックインです。


ベンダーロックインとは?

ベンダーとは「製品やサービスを提供する会社」のこと。

ロックインは「閉じ込める」という意味です。

つまり、

ある会社の製品や仕組みに強く依存してしまい、
簡単には別の会社に乗り換えられなくなる状態

これをベンダーロックインと呼びます。


どうしてロックインは起きるのか?

重要なのは、
ロックインは必ずしも「悪いこと」から始まるわけではない、という点です。

多くの場合は、

  • 便利だから使う
  • 使いやすいから広がる
  • みんなが使っているから安心する

という自然な流れから始まります。


GPUの世界で何が起きたのか

前回少し触れたように、NVIDIAはGPUだけでなく、

  • CUDAという開発環境
  • AI向けのライブラリ
  • 研究者向けのサポート

を整えてきました。

その結果、

  • 教材がNVIDIA前提になる
  • 論文の実験環境がNVIDIA前提になる
  • サンプルコードがNVIDIA前提になる

という状況が生まれました。

これはとても便利です。

しかし同時に、

他の会社のチップに乗り換えるとき、
コードを書き直す必要が出てくる

という現実も生まれます。


「便利」はなぜ「逃げにくい」になるのか

一度たくさんの人が同じ環境で開発し始めると、

  • ノウハウが蓄積される
  • コミュニティができる
  • サポート情報が増える

すると、

そこから離れる理由が、どんどん小さくなっていく

のです。

これが、ベンダーロックインの構造です。


それは悪いことなのか?

ここが大事なポイントです。

ベンダーロックインは、

  • 不正な行為
  • 違法な仕組み

とは限りません。

むしろ、

  • 使いやすい
  • 高性能
  • サポートが充実している

からこそ起きることが多いのです。

つまり、

強さの結果として生まれる構造

とも言えます。


AIチップ競争の本当の意味

ここまでくると、シリーズのテーマが少し見えてきます。

チップの競争は、

  • 単なる「速さ」の競争
    ではなく、
  • どの仕組みが標準になるか
  • どの環境が当たり前になるか

という競争でもあります。

主役になるとは、

「速いチップを作ること」だけではなく、
「みんなが使う仕組みを作ること」

でもあるのです。


ここで新たな疑問が生まれる

もし特定の会社に依存しすぎると、

  • 価格の決定権はどうなるのか
  • 技術の選択肢は広がるのか
  • 他の企業はどう動くのか

という問題が出てきます。

ここで登場するのが、
別の選択をした企業です。


次回予告

次回は、

第5回|なぜGoogleはTPUを作ったのか?GPU依存を避ける選択

をテーマに、
依存を避けるための戦略について整理します。

同じAIの世界でも、
まったく違う立場からの選択が見えてきます。

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