SNSの“声の大きさ”に振り回される社会で、私たちが失いかけているもの
🩰 「海ゆかば」中止が映し出したもの
宝塚歌劇団が9月、宙(そら)組の公演で予定していた「海ゆかば」のソロ歌唱を取りやめた。
理由は「さまざまなご意見をちょうだいしている」というもの。
SNS上では「戦時中の曲を使うのは不適切」「戦争を連想させる」といった批判が相次ぎ、
歌劇団が対応に踏み切ったとみられている。
しかし一方で、「戦争を題材にした『ベルサイユのばら』もだめなのか?」という反発の声も上がった。
今回の騒動は、まさに**SNS時代の“キャンセルカルチャー”**を象徴する出来事といえる。
⚡ キャンセルカルチャーとは
「キャンセルカルチャー(Cancel Culture)」とは、
誰かの発言や表現、作品をSNSなどで批判し、
活動の場から“排除”しようとする動きを指す。
本来は差別や不正を正す「社会的監視」の意味合いがあったが、
いまや「自分と違う意見は許さない」という排除文化に変わりつつある。
SNSの拡散力によって、わずかな声でも大きな圧力になる。
企業や団体が“炎上回避”のために表現をやめる。
その結果、社会全体が「萎縮」していく構図が見えてくる。
📱 SNSの“声の大きさ”と“真実の小ささ”
SNSは便利で速いが、そこに流れる情報の多くは感情で動いている。
怒り・同調・不安がクリックを生み、アルゴリズムがそれを増幅する。
そのため、冷静な意見よりも、
「批判」「炎上」「断罪」が注目されやすい。
結果として——
“多くの人が怒っているように見える”けど、実際はごく一部の声。
にもかかわらず、企業や個人がその“見かけの世論”に過剰反応してしまう。
これが現代のキャンセルカルチャーの根本にある構造だ。
💸 SNSに振り回される“個人のリスク”
SNSで声を上げることは自由だが、そこには現実的なリスクもある。
| リスクの種類 | 具体例 |
|---|---|
| 🧠 精神的リスク | 炎上・誹謗中傷の矢面に立つ、ストレスや不眠など |
| 💰 金銭的リスク | 名誉毀損や侮辱罪による損害賠償、罰金 |
| 👥 社会的リスク | 学校・職場での信頼低下、採用・昇進への影響 |
| 📉 情報的リスク | デマやフェイクニュースを拡散し、信用を失う |
「ちょっと言ってみただけ」が、
相手の人生を壊したり、自分の社会的地位を失うことにもつながる。
SNSの発言は“公開された文章”であり、法的責任が伴うことを忘れてはいけない。
🧭 SNSに“振り回されない力”を育てるには
1️⃣ 即反応しない
感情が動いたときこそ、一拍おいてから発信する。
2️⃣ 複数の情報源を確認する
「誰が」「どんな意図で」発信しているかを見極める。
3️⃣ “正義感”よりも“誠実さ”を意識する
批判することが目的化していないかを見直す。
4️⃣ 発信よりも対話を大切に
SNSは“声を上げる場所”ではなく、“考えを深める場”にもできる。
✍️ 筆者コメント
SNSは、良くも悪くも「声が届きやすい時代」をつくりました。
でも同時に、「考える前に反応してしまう社会」も生んでいます。
言葉は“発信”した瞬間に、他人の現実に触れます。
そこには責任があり、リスクもあります。
正義よりも冷静さを。
共感よりも理解を。
そして、沈黙が必要な場面もあるという感覚を忘れずにいたいと思います。



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