前回までの記事では、
マクドナルドの公式アプリ、そして学校教育を例に、
私たちの身近で進んでいる 「気づかれないAI」 について見てきました。
では、その流れはどこまで広がっているのでしょうか。
結論から言うと、
私たちが毎日のように使っている日常サービスの多くで、
同じ仕組みがすでに使われています。
その中心にあるのが、レコメンドAI です。
レコメンドAIとは何か?
まずは言葉の整理からしておきましょう。
レコメンド(Recommendation) とは、
過去の行動データをもとに、
「この人には、これが合いそうだ」
と予測し、選択肢を提示する仕組みのことです。
重要なのは、
「決める」のではなく「勧める」 という点です。
- 選択肢を並べる
- 順番を調整する
- 目に入りやすくする
最終的に選ぶのは、あくまで人間です。
動画サービスの「おすすめ」は偶然ではない
動画サイトを開いたとき、
「なぜか今の気分に合う動画」が並んでいることはありませんか。
これは偶然ではありません。
YouTube などの動画サービスでは、
- どんな動画を見たか
- どこで再生を止めたか
- 最後まで見たか
- 似た動画をどれくらい続けて見たか
といった行動履歴をもとに、
次に見そうな動画をレコメンドしています。
ここでAIがやっているのは、
「あなたの代わりに選ぶ」ことではありません。
「選択肢の並び順を変える」
それだけです。
レコメンドは「指示」ではない
「おすすめに出てきたから見てしまった」
そんな経験は誰にでもあると思います。
ただし、
- 見ないという選択もできた
- スキップする自由もあった
つまり、
行動を決めたのは自分自身です。
人は、目に入りやすいものを選びやすい。
レコメンドAIは、その人間の性質を利用しているにすぎません。
ネットショッピングも同じ仕組み
ネット通販でも、レコメンドAIは欠かせません。
Amazon などのサービスでは、
- 検索した商品
- 閲覧したページ
- カートに入れたが買わなかった商品
こうした情報をもとに、
「あなたへのおすすめ商品」が表示されます。
ここでもAIは、
「買いなさい」と命令しているわけではありません。
「この人なら、これに興味を持つかもしれない」
その可能性を、静かに提示しているだけです。
私たちは「選ばされている」のか?
ここで、よく出てくる疑問があります。
「結局、レコメンドAIに操られているのでは?」
この問いに対する答えは、
半分はYesで、半分はNo です。
- 選択肢の整理はAIがしている
- しかし、選択そのものは人がしている
これは、現実のスーパーで
「売れ筋商品が目立つ棚に置かれる」
のと、本質的には同じです。
違いは、
それが 個人ごとに最適化されている 点です。
就職活動にも使われるレコメンドAI
少し意外かもしれませんが、
就職活動の場面でもレコメンドAIは使われ始めています。
- 求人検索の表示順
- おすすめ企業
- スカウトメールの送信対象
これらの裏側では、
「この学生と、この企業は合いそうか」
というマッチングが行われています。
レコメンドAIは、
出会いの候補を絞り込む役割を担っているのです。
レコメンドAIは便利か、危険か
ここまで聞くと、
少し不安になる人もいるかもしれません。
ただ、整理しておきたいポイントがあります。
- レコメンドAIは結論を押しつけない
- 判断材料を整理しているだけ
- 使われていること自体は珍しくない
問題になるのは、
「知らないまま使っている」状態です。
「気づかれない」ことが最大の特徴
レコメンドAIは、とても静かです。
- 便利だから疑問を持たない
- 使えているから問題にしない
- いつの間にか当たり前になる
これが、「気づかれないAI」の正体です。
だからこそ、
知っているだけで、向き合い方は変わります。
まとめ|レコメンドAIは選択を奪う存在ではない
日常サービスに広がるレコメンドAIは、
私たちの自由を奪う存在ではありません。
- 選択肢を整理する
- 迷う時間を減らす
- 新しい可能性を提示する
その一方で、
どこまで任せるかを決めるのは人間です。
レコメンドAIとどう付き合うか。
それを考えること自体が、
これからのAIリテラシーだと言えるでしょう。
次回予告(シリーズ最終回)
ここまで、
- マクドナルド
- 学校教育
- 日常サービス
という3つの場面で、
「気づかれないAI」と「レコメンドAI」を見てきました。
最後「レコメンドAIとどう付き合う?|任せすぎない・拒否しすぎないための考え方」では、
AIと人のちょうどいい距離感について、
整理してみたいと思います。



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