【AI時代のチップ入門|速さだけじゃない「本当の競争」】
このシリーズでは、AIを支えるチップの世界で、
今どんな競争が起きているのかを見ていきます。
前回は、GPUがなぜAIと相性がよかったのかを整理しました。
- CPUは万能型
- GPUは同じ計算を一気に処理するのが得意
- AIは大量の計算を必要とする
その結果、GPUが注目されるようになった、という話でした。
では、そのGPUを作っている企業の中で、
なぜNVIDIA(エヌビディア)が特に注目されるのでしょうか。
NVIDIAはどんな会社?
NVIDIAは、
もともとゲーム向けのGPUで知られる会社でした。
パソコンでゲームをする人にとっては、
「高性能なグラフィックボードの会社」という印象が強かったかもしれません。
しかし、AIブームとともに、
その立ち位置は大きく変わりました。
GPUがAIと出会ったとき
GPUは、もともとAI専用に作られたものではありません。
けれども、
- 同じ計算を大量に処理できる
- 並列処理に強い
という特徴が、AIの計算とぴったり合いました。
その結果、
AIを動かすならGPU
GPUといえばNVIDIA
という流れが自然に生まれていきました。
でも、それだけではありません。
チップだけではない「強さ」
ここが重要なポイントです。
NVIDIAは、GPUという部品だけを売っていたわけではありません。
GPUを使って計算をするための
- 開発環境
- ソフトウェアの仕組み
- ライブラリ
といった「周辺の仕組み」も整えていきました。
その代表的なものが、
CUDA(クーダ)と呼ばれる開発環境です。
CUDAがもたらしたもの
CUDAは、NVIDIAのGPUを使って
効率よく計算を行うための仕組みです。
研究者やエンジニアは、
- AIの実験
- 論文の再現
- 新しいモデルの開発
を、CUDAを使って行うようになりました。
そして、
- 教材も
- サンプルコードも
- 研究の標準環境も
次第にNVIDIA前提になっていきました。
ここが、大きな転換点です。
「速さ」だけではない理由
もちろん、GPUの性能が高いことも重要です。
しかし、
性能が高いから主役になった
という単純な話ではありません。
- 開発しやすい環境があった
- 研究者が使いやすかった
- 学生が最初に触れる環境になった
こうした積み重ねが、
「気づいたら当たり前になっていた」
という状況を生み出しました。
AI時代の主役とはどういうことか
AIが広がるほど、
- それを支える計算資源が必要になる
- GPUの需要が増える
- GPUを作る企業の影響力が強まる
という流れが起きます。
NVIDIAは、
- 技術
- 開発環境
- 研究コミュニティとのつながり
を通じて、その中心に立つようになりました。
だからこそ、AI時代の主役と呼ばれるようになったのです。
しかし、ここで新しい疑問が生まれる
ここまで読むと、
こう思うかもしれません。
- それはすごいことなのか?
- それとも、依存しすぎている状態なのか?
ここから先は、
「競争の構図」という話になります。
次回予告
次回は、
第4回|ベンダーロックインとは何か?「便利」と「逃げられない」の関係
をテーマに、
技術の世界で起きる“依存の構造”について整理します。
便利な仕組みは、
なぜときに「逃げにくい環境」にもなるのでしょうか。
ここから、
シリーズの核心に近づいていきます。



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