私たちは今、情報に溺れている?|スマホ時代の“見えない洪水”とは

ITリテラシー・スキル

はじめに

 気づかないうちに、現代人は“とてつもない量の情報”を浴びています。
 スマホが鳴るたびに通知を見て、SNSのタイムラインを流し見して、動画を1本また1本と再生していく…。
 この「情報の洪水状態」がどれほど異常なのか、実はあまり知られていません。

 この記事では、現代人がどれほどの情報にさらされているのか、そしてなぜ脳が疲れやすいのかをわかりやすく解説します。


現代人は「昔の人の数十倍」の情報を浴びている

 スマホが普及する前(2000年代初期)と比べると、現代人が1日に受け取る情報量は5倍〜10倍以上とも言われています。

 SNS、ニュース、広告、DM、動画……。
 気づかないうちに、大量の情報が押し寄せています。


1日で「平安時代の一生分」を超える?

 よく
 「平安時代の貴族が一生で触れる情報量を、現代人は1日で超える」
と言われます。

 これは厳密な統計というより比喩ですが、方向性としては間違っていません。

 なぜなら当時は、

  • 書物が非常に少ない
  • 情報源が“人づて”に限られる
  • 新しい情報に触れる頻度が極端に少ない
    という背景があり、貴族であっても一生で触れる新情報はごく限られていたからです。

 対して現代人は、
 SNSのスクロール1回で数十件、
 YouTubeのサムネ1画面で数十件、
 1日スマホを使えば数千〜数万件の情報が視界に入ります。

 この差を示すための比喩として「平安時代の一生分」という表現がよく使われるのです。


実は、平安時代の人と現代人の“脳の仕組み”はほぼ同じ

 ここが重要なポイントです。

 脳の基本的な構造は、平安時代も現代もほとんど変わっていません。
 脳が進化するには数万年単位の時間が必要です。
 1000年前なんて、進化のスケールで言えば“一瞬”です。

 つまり──

昔の脳のままで、現代の1000倍の情報を処理している。

 これは例えるなら、
 平安時代スペックのCPUに、2025年の超高速データを流し込んでいる状態です。

 容量オーバーで疲れるのは当然です。


なぜ“気づかないうちに”情報を浴びてしまうのか

 最大の理由は、SNSや動画プラットフォームの設計です。
 現代のアプリは、ユーザーが求める前に無限に情報が流れてくる仕組みになっています。

 スクロールすれば新しい投稿、
 動画を1本見ると次のおすすめが自動再生、
 気づいたら何時間も過ぎている──。

 これは偶然ではなく、
 人間の脳の報酬回路を刺激するよう設計された仕組みなのです。


現代人が「疲れやすい」理由はここにもある

 脳は昔とほとんど変わっていないのに、
 処理すべき情報量だけが桁違いに増えたため、次のような負荷が生じます。

  • 集中力が落ちる
  • 注意が散りやすくなる
  • 比較によるストレスが増える
  • 頭がぼんやりする(ブレインフォグ)
  • やる気が出なくなる
  • 睡眠の質が下がる

 つまり、
 現代人が疲れやすいのは“脳が弱い”のではなく、情報が強すぎるから。


情報に“溺れない”ために知っておくべきこと

 最初の一歩は、
 「脳のスペックより、情報のほうが圧倒的に増えてしまった時代を生きている」
と理解することです。

 そのうえで、通知の整理やSNSの使用時間管理など、
 情報との距離を調整する工夫が必要になります。


おわりに

 今回は、スマホ時代に私たちが浴びている“見えない情報の洪水”について解説しました。
 次回の記事では、
 「情報過多は脳にとって良いのか悪いのか?」
というテーマを、脳科学の視点からさらに深掘りしていきます。

 スマホ社会で生きるためには、
 “情報をどう扱うか”が大切なスキルになっていきます。

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