はじめに|「あれ、何考えてたっけ?」は誰にでも起こる
「いいこと思いついたのに、あれ…何だったっけ?」
そんな経験、ありませんか?
じつはこれ、怠けでも、注意力の問題でもありません。
人間の脳はそもそも「ひらめきを記憶するようにはできていない」からなんです。
アイデアが生まれる瞬間、私たちの脳は“創造モード”になっています。
ところがそのとき、記憶を保存する仕組みはオフに近い状態。
つまり、良いアイデアほどリラックスした状態で生まれ、そして一番忘れやすいのです。
第1章|良いアイデアは「リラックス中」にやってくる
たとえば、こんな経験はありませんか?
🚿 シャワーを浴びているときに、「あ、あの授業こう説明すれば分かりやすい!」と思いついた。
☕ 休日のカフェでぼーっとしていたら、上司から言われていた“新企画の提案”がふと浮かんだ。
🚶 信号待ちの間に、ずっと悩んでいたデザインのアイデアが突然つながった。
これらの瞬間に働いているのが、脳の「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」という領域です。
DMNは、何かに集中していない時——つまりリラックスしている時に活性化します。
脳が無意識のうちに、過去の経験や知識、感情を整理している状態です。
この「ぼんやりモード」の時、ふと離れた情報同士がつながり、
まったく新しい発想が生まれる。
これこそが**“ひらめき”の正体**です。
第2章|でもその瞬間、脳は「記録機能がオフ」になっている
ただし、ここに落とし穴があります。
リラックスしている時の脳は、創造的ではあるけれど、記録力が極端に低下しているんです。
記憶を司る「海馬」は、興奮や集中といった状態でこそよく働きます。
逆に、気持ちがゆるんでいる時には活動が弱まり、
「覚えよう」という意識もほとんど働きません。
そのため、
💭 「あ、いいこと思いついた!」
と感じた数十秒後には、
🤔 「あれ? 何考えてたんだっけ……」
となってしまうのです。
つまり、アイデアが生まれる瞬間は、脳が“発想モード”であり、“記憶モード”ではないということ。
これが、「良いアイデアほどすぐ消える」最大の理由です。
第3章|アイデアを定着させる3つの習慣
では、どうすれば“消える前に残せる”のでしょうか。
ポイントは、「覚えよう」とするのではなく、外に出すことです。
① 思いついたら30秒以内にメモ
紙でもスマホでもOK。
キーワード1つでもいいので、思考の断片を外に出す。
脳の外に“仮保存”しておく感覚です。
✍️ 「言葉にした瞬間に記憶が強化される」
これは心理学でも確認されている効果です。
② 当日中に見返す
その日のうちにメモを見返し、「なぜそう思ったのか」を追記しておきましょう。
これで短期記憶から長期記憶への“橋渡し”が起こります。
夜寝る前の5分でも十分です。
③ ジャンルごとに整理する
「仕事の提案」「授業ネタ」「日常の気づき」など、フォルダやノートで分けておくと、
脳が“どこに何があるか”を認識しやすくなります。
情報を整理することは、次のひらめきを呼び込む準備にもつながります。
第4章|“アイデア体質”になる3つの環境づくり
アイデアを逃さない人は、特別な才能があるわけではありません。
彼らは「ひらめいた時に残せる環境」を、あらかじめ整えているのです。
- 🌙 寝る前メモ帳法:ベッド横にメモ帳を置いておく
- 🚶 移動ボイス法:歩いているときはスマホ録音
- ☀️ 朝の二度書き法:前夜のメモを朝に清書して定着
こうした習慣をつくるだけで、“ふとした瞬間のアイデア”が少しずつ積み重なります。
まとめ|思いつく力より「残す力」
良いアイデアほど、緊張していないときに生まれ、
そのとき脳は「覚えよう」という意識をほとんど持っていません。
🧩 だからこそ、覚えようとせず、外に出す。
アイデアは「思いつく力」より「残す力」で価値が決まるのです。
ペンでも、スマホでも、手元にあるものでかまいません。
ひらめきは、一瞬で消える“泡”のようなもの。
でも、その泡を一つひとつすくい取る習慣こそ、
未来のあなたの創造力を支える礎になります。



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