「AIがあるからプログラミングは不要」という考えの落とし穴
近年、「AIが自動でコードを書くようになるから、プログラミングを習わせる必要はない」と考える保護者が増えています。
しかしこの考え方には、大きな誤解があります。AIは確かに進歩していますが、プログラミングが“不要になる”未来と、プログラミング教育が“必要なくなる”未来は別物です。
AIはあらゆる分野に影響を及ぼします。もし「AIがやるから不要」という基準で判断するなら、どんな専門スキルも同じ理屈で不要になってしまいます。
だからこそ今は、“何がなくならない職業か”ではなく、“何が普遍的な能力か” が重要です。
AI時代に求められるのはプログラミング作業ではなく“思考力”
AIが得意なのは、与えられた条件に従ってコードを生成する“作業”の部分です。
一方でAIが苦手なのは、次のような“考える工程”です。
- 何を作るべきかを判断すること
- 問題を言語化し、設計に落とし込むこと
- 安全性・利便性の観点から適切な仕様を決めること
- 結果を評価し、改善策を考えること
プログラミング教育が育てるのは、この“考える力”の部分です。
具体的には、
- ものごとを分解する力
- 順序立てて整理する力
- 条件を見極める力
- ミスに気づき修正する力
- より良い方法を探す力
これらは 職業を問わず一生使える普遍的な能力 であり、AI時代のビジネス社会ではむしろ価値が高まります。
プログラミングという仕事は変化しても、思考の価値はなくならない
AIによってコードを書く作業は効率化され、簡単な処理は自動生成される未来がほぼ確実です。
しかし、だからといってプログラミング教育の価値が下がるわけではありません。
むしろ、次のような“人間にしかできない領域”はこれからさらに重要になります。
- 目的を定義する人
- 仕様を考える人
- AIに正確な指示を出す人
- 成果物を判断し改善する人
これらはコードを書く以上に、論理力・判断力・問題解決力 が求められます。
そしてこれらこそ、プログラミング教育で育つ力なのです。
“なくならない職業”を探すより、“変化に強い基礎能力”を磨くべき時代
どの業界もAIの影響を受ける時代になりました。医療、教育、金融、デザイン、物流など、例外はありません。
そうである以上、「この職業なら絶対安泰」というものは存在しません。
では何が子どもの未来を支えるのか。
それは、次のような普遍的な能力です。
- 自分で考える力
- 問題を整理し構造化する力
- 新しい技術を理解し使いこなす力
- 変化を怖がらず適応する力
プログラミングはこれらの能力を総合的に鍛える教育であり、“AI時代を生き抜く脳の基礎体力”を育てます。
プログラミングは「将来の職業訓練」ではなく“思考力のトレーニング”
「うちの子はプログラマーにならないから関係ない」という声もあります。
しかしプログラミング教育の本質は、職業スキルではなく思考スキル にあります。
どの仕事に就いても役立つ力として、
- 論理的に考える力
- 問題を順序立てて解決する力
- 自分のアイデアを形にする力
- 失敗から改善する姿勢
こうした能力は、AIがどれだけ進化しても代替できません。
そして、AIを使いこなすためには、
「何を指示するか」 を考えられる人間側の理解が不可欠です。
まとめ|AI時代ほど、プログラミング的思考が子どもの未来を支える
AIが仕事の一部を代替する時代でも、人が担うべき部分は確実に残ります。
その中心にあるのが “考える力” であり、プログラミング教育はそれを育てる最適な方法の一つです。
「将来なくなるスキルかどうか」ではなく、
“将来どんな環境でも役に立つ力かどうか”
で考えることが、これからの教育には求められています。
だからこそ私は、
AI時代にプログラミングを学ぶことには、以前よりも大きな価値がある
と強く感じています。



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