社会に出ると、一人だけで完結する仕事はほとんどありません。
商品開発も、サービス提供も、営業活動も、複数の人が役割を分担しながら進めていくのが当たり前です。だから企業は、専門スキル以上に「チームで働く力」を非常に重視しています。
■ チームで働く力とは何か
チーム力とは「複数人でひとつの成果を出すためのベースとなる力」のことです。
具体的には以下のような力が含まれます。
- コミュニケーション(共有・相談・報告)
- 協力・調整(役割分担・締め切り管理)
- 問題解決(トラブル対応・代替案)
- リーダーシップ/フォロワーシップ
- 心理的安全性を保つ態度
これらは専門スキルとは別軸で、どんな職種でも求められる“万能スキル”です。
■ 企業がなぜ専門スキルよりチーム力を重視するのか
企業の採用担当者がよく口にするのは、
「技術は入社後に育つ。
でも、コミュ力・協働力は後から身につけるのが難しい。」
専門的な技術は研修やOJTで伸ばせますが、対人コミュニケーションの土台が弱いと、そもそも教える段階まで到達できません。
とくに現場では、
- 聞けない
- 相談できない
- 黙って抱え込んでしまう
この3つが仕事全体を止めてしまう最大の要因になります。
■ 筆者の経験談:失敗したプロジェクトの多くは“コミュニケーション不足”
筆者自身も、かつてシステム開発のチームで働いていた時期があります。
その中で強烈に感じたのは、
「うまくいかなかった仕事の原因の大半は、コミュニケーション不足だった」
という事実でした。
具体的には、
- 仕様の認識がズレたまま作業が進んでしまった
- 小さな変更が共有されず、後工程でやり直しになった
- 「聞けば10秒で済むこと」を誰も聞かず、何時間も無駄にした
- 相手の意図を確認しないまま“自己判断”で動いてしまった
- 「言いにくいから…」と黙った結果、プロジェクト全体が遅れた
技術が足りなかったから失敗したのではなく、
話すべきことを話さず、確認すべきことを確認しなかったことが原因だった。
この経験は、今でも強く印象に残っています。
■ AI時代ほど“人間にしかできない力”が求められる
AIが進化するほど、技術的な作業や情報処理はAIが担えるようになります。
しかし、AIには決してできない分野があります。
- 人の気持ちを汲む
- 調整する
- 伝え方を工夫する
- 信頼関係を築く
- 衝突をやわらげる
- 会議をまとめる
- モチベーションを支える
これらはすべて人間にしかできないことです。
つまり、AI時代だからこそ“チームで働く力”の価値が高まっているのです。
■ 伸びる人材に共通していること
企業の採用担当者が「この人は伸びる」と確信するポイントは、必ず次のような行動ができるかどうかです。
- わからないことをそのままにしない
- 早めに共有・相談ができる
- 人への配慮がある
- 自分の役割だけでなく、チーム全体を見られる
- AIを上手く活用し、他者と連携できる
これらは専門技術とは違い、姿勢や思考習慣に近い能力です。
■ 逆に伸びない人に多い特徴
・ 自分だけで抱え込み、報告が遅れる
・ 質問できずに時間だけが過ぎる
・ 意見が食い違うと黙ってしまう
・ チームの状況が見えていない
・ AIも人も上手く使えない
特に「相談できない」「共有が遅い」は、企業にとって大きなリスクとなります。
■ 結論:AI時代の最強スキルは“人と協力して成果を出す力”
AIが進化しても、人と協力して成果を出す力は、どんな時代でも価値が下がらない“普遍的なスキル” です。
専門技術は入社後にいくらでも育ちますが、コミュニケーション力や協働力は、ゼロから短期間で身につくものではありません。
筆者が現場で見てきたように、仕事がうまくいかない原因の多くは 技術不足ではなく“コミュニケーション不足” でした。
だからこそ企業は、若い人材に 「人と関わりながら進める力」 を求めています。
これから社会に出る学生に伝えたいのは、
「ひとりで頑張る力」ではなく、
「人と協力して進める力」こそが
あなたの武器になる
ということです。



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