就職活動は「倍率が高い=安心」ではありません。
このシリーズでは、バブル崩壊から現在までの就職倍率の推移と背景を振り返りながら、今後の変化や見えないリスク、そしてAI時代でも活躍できる職種の選び方までをわかりやすく解説していきます。
高校生・専門学校生・大学生、そして保護者の方々にとって、**「就職市場の本当の姿」**を知るヒントになれば幸いです。
🏁 リード文
「新卒は売り手市場」と聞くけれど、それは本当なのでしょうか?
この記事では、1989年(バブル期)から2025年までの新卒求人倍率の推移をまとめ、大学生や専門学校生の就職環境がどう変化してきたのかを振り返ります。
さらに、現在の“売り手市場”の中身をデータで可視化し、将来の就活戦略にも役立つ視点をお届けします。
📊 新卒求人倍率とは?
求人倍率とは、**「求人数 ÷ 求職者数」**のこと。
- 倍率が1.0より高いと「売り手市場」(企業が人材を奪い合っている状態)
- 倍率が1.0未満だと「買い手市場」(学生が職を奪い合う状態)となります。
📈 新卒求人倍率の推移(1989〜2025年)
【主な推移表】
卒業年度 | 求人倍率(倍) | 市場状況 |
---|---|---|
1989〜90年 | 約1.5〜2.0(推定) | バブル期・強い売り手市場 |
1993〜97年 | 不明(1.0以下で推移) | 就職氷河期・買い手市場 |
2000年 | 約0.99 | 倍率1.0割れ・氷河期底 |
2003年 | 高卒1.27/専修学校内定率54.3% | 回復基調 |
2013年 | 1.80 | 売り手市場スタート |
2017年 | 2.19 | 売り手市場が加速 |
2021年 | 2.50 | 強い売り手市場 |
2023年 | 3.33 | 歴代トップクラスの売り手市場 |
2025年 | 約2.26(速報) | 安定した売り手市場継続 |
出典:厚生労働省「新規学卒者就職調査」、JIL職業情報センターなど
🔍 数字で見る“売り手市場”の正体
2023年の求人倍率は3.33倍。これは、1人の学生に対して3社以上が求人を出している計算です。
ただしこの数値には注意点も:
- 業界によって差が大きい(IT・介護は高倍率/事務職は低倍率)
- 地方と都市で格差あり
- 求人があっても“人気職種”は競争が激しい
つまり、「全体では売り手市場でも、狙う職種次第では買い手市場になる」状況です。
🎓 専門学校生と大学生の違い
比較項目 | 大学生 | 専門学校生 |
---|---|---|
対象求人 | 総合職・幹部候補 | 技術職・技能職・専門職 |
求人数 | 多い | 分野によって偏りがある |
求人倍率 | 約2.3〜3.3倍 | 分野別求人倍率は非公開が多い |
就職率 | 約97%(大学) | 約99%(専修学校)※業界直結型が多いため |
専門学校生は「狭く深い」就職活動をする傾向があり、「求人倍率」という数字よりも専門分野とのマッチング精度が重要になります。
🔮 今後のトレンドを読むヒント
後続記事で詳しく触れますが、以下のような要素が今後の倍率に影響してきます:
- 少子化と人手不足 → 一部では売り手市場の持続
- AIの普及 → 一部職種は急減も
- 採用スタイルの多様化 → 通年採用・リファラル採用など
「倍率が高い=安心」ではなく、「どの分野が伸びているか」を見る力が今後ますます大事になります。
✅ まとめ
- 求人倍率は1989年から上下動を繰り返し、現在は過去最高クラスの売り手市場
- しかし、数字の裏には「分野格差」「地域格差」「構造変化」がある
- 大学生・専門学生ともに、“自分に合った職種と成長市場を選ぶ”戦略が重要
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