15歳未満SNS禁止はなぜ違憲になったのか|フランスが直面する「理想と現実」

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世界各国で、子供のSNS利用を規制する動きが広がっています。 オーストラリアでは16歳未満を対象にした規制が始まり、ヨーロッパでも同じような議論が進んでいます。

そんな中、フランスでも15歳未満のSNS利用を禁止する法律が成立しました。
ところが2026年8月14日、フランスの憲法会議が、この規制を違憲と判断しました。
理由は、15歳未満を一律にSNSから締め出すことが、「表現・通信の自由」を必要以上に制限するというものでした。 では、フランスは「子供にも自由にSNSを使わせるべきだ」と考えたのでしょうか。
実は、そういう話ではありません。

子供を守る必要性は認めている

まず大事なのは、SNSから子供を守る必要性そのものは否定されていないということです。
SNSには、長時間利用、依存、刺激の強い情報、知らない人との接触など、子供にとってさまざまなリスクがあります。 フランス政府も、そこを問題視していました。
つまり、「子供を守る必要はある」という点では、政府と憲法会議の考えは大きく違っていません。
問題になったのは、その方法です。

15歳未満を全員同じにしてよいのか

今回の法律では、「15歳未満」という年齢で大きく線を引こうとしました。
しかし、同じ14歳でもSNSの使い方は違います。
動画を何時間も見続ける子もいれば、友達との連絡にしか使わない子もいます。
情報収集や作品発表に使う子もいるでしょう。
SNSそのものも同じではありません。 刺激の強い動画を次々と表示するサービスと、知人との連絡を中心にしたサービスでは、危険性も違います。

それらを全部まとめて、「15歳未満だから禁止」としてしまうのは、少し乱暴なのではないか。
フランスの憲法会議は、そこに問題があると考えたわけです。

では一人ひとり判断すればよい?

ここで、こう思うかもしれません。
「では、その子の成長や使い方に合わせて判断すればよいのでは?」
確かに、それができれば理想的です。
ただし、現実には簡単ではありません。

何百万人もの子供について、
「この子は使っても大丈夫」
「この子はこの機能だけ禁止」
「このSNSなら使ってよい」
と個別に判断することは、ほぼ不可能です。
だからこそ多くの国は、「15歳」「16歳」という分かりやすい年齢を基準にしています。
年齢なら、利用者にも企業にも分かりやすく、ルールとして運用しやすいからです。

学校のスマホルールにも似ている

これは学校のスマートフォンのルールにも似ています。
本当なら、「授業に必要なときだけ正しく使える生徒は使ってよい」というルールでもよいでしょう。
でも、先生が毎回30人について個別に判断するのは大変です。

そこで、「授業中はスマートフォン禁止」という分かりやすいルールを作ります。
これは、全員が正しく使えないという意味ではありません。
ルールとして運用するために、一つの線を引いているのです。
SNSの年齢制限も同じです。

子供を確認するために大人も確認する?

さらに難しいのが年齢確認です。
15歳未満を利用できなくするには、本当に15歳以上かどうかを確認しなければなりません。
「私は18歳です」と入力するだけでは意味がありません。
身分証明書などを使えば正確になりますが、今度は個人情報やプライバシーの問題が出てきます。
子供を守るための規制が、大人を含めた社会全体の自由にも関わってくるのです。

フランスはまだ答えを出していない

今回の違憲判断で、フランスがSNS規制を諦めたわけではありません。
マクロン大統領は、憲法会議の判断を踏まえて、新しい法案を作る方針を示しています。
つまり現在のフランスは、「一律禁止では強すぎる。では、どうすれば現実に子供を守れるのか」という答えを探している途中なのです。
一人ひとりに合わせた対応は理想です。 しかし、一律の基準がなければ制度として運用しにくい。
一方で、分かりやすさだけを優先すれば、必要以上に自由を制限してしまう可能性があります。
一律禁止は乱暴なのか。
それとも、一律にしなければ現実には子供を守れないのか。

フランスの違憲判断は、SNS規制の難しさを改めて私たちに突きつけています。

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