「楽」と「楽しい」|「らく」と「たのしい」は違うのになぜ同じ漢字?

子ども向け

「楽な仕事」と「楽しい仕事」。 どちらにも「楽」という漢字が使われていますが、意味はかなり違います。 「楽」は、苦労が少ない、疲れない、簡単という意味です。一方の「楽しい」は、うれしい、面白い、心が弾むという意味です。 楽なことが、必ずしも楽しいとは限りません。

簡単すぎる作業を退屈に感じることもあります。反対に、スポーツや勉強のように大変でも、夢中になって楽しめることもあります。 それなのに、なぜ同じ「楽」という漢字を使うのでしょうか。

「楽」はもともと楽器を表す漢字

「楽」の旧字体は「樂」です。 漢字ペディアでは、木に糸を張った弦楽器の形から生まれた象形文字であり、もともとは音楽を表し、そこから「たのしむ」という意味に広がったと説明されています。ただし、鈴の形を表したという説もあります。

音楽を奏でると、人の心が明るくなったり、気持ちが満たされたりします。 そのため「音楽」から「心地よい」「たのしい」という意味が生まれ、さらに「苦しさがなく安らかである」という意味にも広がったと考えると、つながりが見えてきます。

つまり、現在の「らく」と「たのしい」は別々に見えますが、どちらにも「心地よい状態」という共通点があるのです。

「らく」と「たのしい」は読み方の生まれ方も違う

もう一つ大切なのは、「らく」と「たのしい」が、もともと同じ日本語だったわけではないということです。 「らく」は、中国から漢字とともに伝わった音読みです。
一方、「たのしい」は、漢字が伝わる前から日本で使われていたと考えられる日本語です。あとから意味の近い「楽」という漢字を当てて、「楽しい」と書くようになりました。

現在の辞書でも、「楽」には「たのしむ」「たのしい」と「たやすい」の両方の意味が載っています。
ただし、「たのしい」という日本語そのものが、どのように生まれたのかについては複数の説があり、はっきり確定していません。

同じ漢字でも意味は同じではない

「楽」が表しているのは、単に「努力しなくてよいこと」だけではありません。
音楽を聴いて心が満たされることも、苦しさから解放されて心身が安らぐことも、広い意味ではどちらも「心地よい状態」です。

そこから、「心が満たされる」なら「たのしい」、「苦しさが少ない」なら「らく」というように、意味が分かれていったと考えられます。 同じ漢字が使われているからといって、まったく同じ意味とは限りません。 「楽」と「楽しい」は、同じ出発点から別の方向へ伸びていった、親戚のような言葉なのです。

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