【シリーズ】レアアースの裏側
― 中国の世界優位と、引き受けられてきた犠牲 ―
シリーズ①では、
レアアースをめぐる世界の構造を整理してきました。
すると、ここで避けて通れない疑問が出てきます。
「中国の強さは、何の上に成り立っているのか?」
この第1回では、
中国がレアアース精錬という工程を
なぜ引き受け続けてきたのかを見ていきます。
精錬という工程の特殊性
レアアースは、
掘り出しただけでは使えません。
- 不純物を取り除く
- 元素ごとに分離する
- 製品向けに加工する
こうした工程をまとめて 「精錬」 と呼びます。
この精錬には、
強い酸や化学薬品が使われることが多く、
非常に手間のかかる工程です。
つまり、
レアアースの価値は「採掘」よりも、
精錬の段階で決まると言っても過言ではありません。
環境負荷・健康リスクという現実
精錬が問題になるのは、
コストだけではありません。
- 有害な廃液
- 土壌や地下水への影響
- 作業者の健康リスク
といった問題が、どうしても伴います。
どれだけ技術が進んでも、
環境への負荷を完全にゼロにすることは難しい。
ここが、
レアアース精錬の厳しい現実です。
日米が「できても続けられなかった理由」
ここで大切なのは、
アメリカや日本に精錬技術がなかったわけではない、
という点です。
実際、過去には
先進国でもレアアース精錬が行われていました。
しかし、
- 環境規制が厳しい
- 住民の反対が起きやすい
- コストが合わない
こうした理由から、
**「続けることが難しい産業」**になっていきました。
結果として、
多くの国がこの分野から距離を置いていきます。
中国が国家戦略として引き受けた背景
一方、中国は別の選択をしました。
- 利益が出にくくても
- 環境負荷が大きくても
レアアース精錬を、
国家戦略として維持・拡大していったのです。
その背景には、
- 工業化を進めるための資源確保
- 将来の交渉力を見据えた判断
- 世界の需要を引き受ける立場になる狙い
がありました。
短期的な損得よりも、
長期的な構造を選んだとも言えます。
強みと犠牲が表裏一体である構造
こうして中国は、
世界のレアアース精錬を担う中心になりました。
それは同時に、
- 環境負荷
- 健康リスク
- 地域への影響
を長く引き受けてきた、ということでもあります。
中国の強みは、
決して「楽をして得たもの」ではありません。
強さと犠牲が、表裏一体になった構造
これが、レアアース問題の本質です。
今回のまとめ
- レアアースの価値は、精錬工程で決まる
- 精錬は環境・健康への負荷が大きい
- 日米は「できても続けられなかった」
- 中国は国家戦略として精錬を引き受け続けた
- 世界の便利さは、その選択の上に成り立っている
次回は、現場で何が起きていたのかを見る
次回は、
レアアース精錬の現場で
実際に何が起きていたのかを見ていきます。
映像で見た
「ありえない色の水」は、なぜ生まれたのか。
個人や民族の問題ではなく、
構造として何が起きていたのかを考えていきましょう。



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