【シリーズ】世界とニュースがわかる「レアアース構造」入門
前回は、
なぜレアアースが今になってニュースで注目されているのかを見てきました。
その流れで、多くの人が次に思うのが、この疑問です。
「なぜ中国は、レアアースがそんなに強いの?」
ニュースではよく
「中国が握っている」「中国に依存している」
といった言い方がされますが、
その理由は意外と詳しく説明されません。
今回は、中国の強さの正体を、
数字と構造の両面から見ていきます。
中国は、どれくらいのレアアースを生産しているのか
まずは、分かりやすい数字から見てみましょう。
世界で生産されるレアアースのうち、
中国はおよそ6〜7割を占めていると言われています。
この数字だけを見ると、
「やはり、資源が多いから強いのでは?」
と思うかもしれません。
ですが、ここで一つ注意が必要です。
中国の強さは「掘る量」だけでは説明できない
レアアースは、
地面から掘り出しただけでは使えません。
実際には、
- 不純物を取り除く
- 元素ごとに分ける
- 工業製品に使える形に整える
といった工程が必要になります。
この精錬(せいれん)・加工の段階こそが、
中国の本当の強みです。
中国は、
世界のレアアース精錬・加工の多くを担っています。
つまり、
「原料」ではなく
「使える材料」になるところを押さえているのです。
技術が低かったから引き受けたわけではない
ここで、よくある誤解があります。
「精錬は大変だから、中国が引き受けただけなのでは?」
確かに、精錬は簡単な仕事ではありません。
- 環境への負担が大きい
- 設備投資が必要
- 利益が出にくい
こうした特徴があります。
しかし、
アメリカや日本に技術がなかったわけではありません。
むしろ以前は、
先進国のほうが高い技術を持っていました。
なぜ他国はやめ、中国は続けたのか
では、なぜ多くの国は精錬から離れたのでしょうか。
理由の一つは、
コストと社会的な負担が大きかったからです。
精錬を続けるには、
- 環境対策にお金がかかる
- 地域住民との問題が起きやすい
- 安い輸入品と競争しなければならない
といった課題があります。
多くの国は、
「海外から買ったほうが安い」と判断し、
この分野を中国に任せる形を選びました。
一方、中国は、
レアアースを国家戦略として扱う道を選びます。
「続けてきたこと」そのものが強さになった
ここが、最も重要なポイントです。
中国の強さは、
短期間で一気に手に入れたものではありません。
- 利益が出にくくても
- 手間がかかっても
- 世界の需要を引き受け続けた
その結果、
精錬や加工の技術・設備・人材が中国に集まりました。
こうして、
世界が中国に依存する構造が出来上がっていったのです。
今回のまとめ
- 中国はレアアースの生産量で世界の大部分を占めている
- 本当の強みは、精錬・加工の工程を押さえていること
- 技術力の差というより、続けてきた構造が差を生んだ
- 中国の優位は、長年の積み重ねの結果である
次回は、技術との関係を見ていく
次回は、
EVやAIが、なぜレアアースなしでは成り立たないのかを取り上げます。
デジタル化が進むほど、
実は「金属」が必要になる。
そんな意外な関係を、
身近な例から見ていきましょう。



コメント