はじめに:朝起きたら、アプリが動かない!?
2025年10月20日の朝、世界中でSNSやゲームが次々に動かなくなりました。
「ログインできない」「サーバーに接続できません」といったエラーが画面に並び、
Fortnite、Snapchat、Ring などの有名アプリが一時的に停止。
原因は、Amazon Web Services(AWS) というクラウドサービスの大規模障害でした。
AWSはAmazonが提供する「世界のインターネットの裏側」を支える仕組み。
企業、学校、個人アプリの多くがこのAWS上で動いているため、
ひとたびトラブルが起きると、世界中のシステムに影響が広がります。
🕒 障害のタイムライン(日本時間)
ニュースでは「午後4時過ぎに報道が相次いだ」とされていますが、
実際の障害はもっと早い段階から始まっていました。
AWS公式発表や海外報道をもとに、日本時間で整理すると次のようになります。
時刻(日本時間) | 出来事 |
---|---|
午前10時11分ごろ | AWSが「エラー率の増加と遅延」を確認。異常を検知。 |
午前11時ごろ | 原因の可能性を特定したと発表。DNS(インターネットの住所帳)に関するトラブルと判明。 |
午後0時ごろ〜2時ごろ | 世界中でSNS・ゲーム・スマート家電などが次々に通信エラー。ニュース各社が速報を出し始める。 |
午後3時半ごろ | AWSが「DNSの問題はほぼ解消した」と発表。順次復旧が進む。 |
午後11時〜翌日未明 | 一部サービスでは完全復旧まで時間がかかるが、全体的には正常化。 |
つまり、「16時過ぎ頃」というのは発表の時刻ではなく、報道が集中した時間帯。
実際には午前10時ごろから障害は始まっていたのです。
☁️ クラウドってそもそも何?
クラウド(Cloud)とは、「ネットの向こう側にあるコンピューターを借りて使う仕組み」です。
スマホの写真、音楽、チャット履歴なども、多くはクラウド上に保存されています。
つまり、自分のスマホを変えてもデータが残るのは、AWSのようなサーバーが裏で動いているから。
ただし、その“裏側”が止まると、私たちが使うアプリも一斉に動かなくなるのです。
🌍 どれくらい影響があったの?
今回停止したのは、アメリカ東部にある 「US-EAST-1」 というデータセンター。
AWSの中でも特に多くの企業が使う“人気エリア”だったため、
影響範囲は非常に広くなりました。
- 🎮 ゲーム:Fortnite、Roblox などが一時停止
- 💬 SNS:Snapchat などで接続エラー
- 🏠 スマート家電:Ringなどのドアベルやセンサーが反応せず
- 🏫 教育・ビジネス:多くのWebアプリが遅延またはアクセス不能に
ほんの数時間でしたが、「ネットが当たり前に動く」世界が止まりました。
💡 どうして止まったの?
AWSが発表した原因は、内部の監視システムとDNS(Domain Name System) のトラブル。
DNSは、インターネット上の住所帳のような役割を持っています。
これが壊れると、「目的のサーバーの場所がわからない」という状態になり、
多くのサービスが通信できなくなります。
つまり、見えない部分の“ほんの一か所”のエラーが、世界中にドミノのように波及したのです。
🎓 学生に関係あるの?と思うかもしれないけど…
実はこの話、IT業界を目指す学生 にとってはとても大事です。
なぜなら、企業のシステムやアプリのほとんどがクラウドに依存しているから。
もし将来エンジニアやデザイナーとして働くとき、
「自分が使っているアプリがどんな仕組みで動いているのか」
を理解しているかどうかが大きな差になります。
また、トラブルが起きたときに「なぜ?」と考えられる人は、どんな現場でも頼りにされます。
⚠️ 今回の教訓:「便利の裏にはリスクがある」
クラウドは便利で、どこからでもデータにアクセスできます。
でも、便利さの裏には「集中しているゆえの弱点」もあります。
覚えておきたいポイント
- どんな技術にも“止まるリスク”はある
- 依存しすぎると、トラブル時に何もできなくなる
- バックアップや代替手段を準備しておくことが大切
授業資料をクラウドだけに保存している人は、USBなどローカルにもコピーしておくと安心です。
🧠 おわりに:裏側を知ると、ITの面白さが見えてくる
今回のAWS障害は、「普段見えないクラウドの裏側」を知る良いきっかけになりました。
便利な世界を支えているのは、複雑なシステムと、それを設計・運用する人たち。
「なんで止まったんだろう?」と考え始めた瞬間から、
あなたもすでにITの“裏側”に足を踏み入れています。
トラブルを「他人事」とせず、「次にどう防ぐか」を考える。
それが、これからの時代に求められるスキルの第一歩です。
🔍 まとめ
- AWSは世界の多くのサービスを支える“ネットの心臓部”
- 10月20日午前10時ごろから障害が発生、午後3時半に解消傾向
- クラウドは便利だが、止まるリスクを常に意識することが大切
- 「仕組みを理解しようとする姿勢」が、未来のエンジニアを強くする
🧩 次回予告(第2弾)
今回の障害で止まったサービスが多い中、なぜAWSサービスを使用している X(旧Twitter) はほぼ影響を受けなかったのか?
次回はその理由――クラウドの「リスク分散」 の仕組みをわかりやすく解説します。
「AWSを使っていても止まらない」強さの秘密を探ります!
コメント