プログラミング力を家庭ではどう補うか?

プログラミング教育

子どもの未来を育てる習い事選び|第4回

はじめに ― 習い事選びに迷われる保護者の皆さまへ

「プログラミングが大事だと聞くけれど、近くに教室がない」
「パソコンに自信がないから、子どもに教えてあげられない」

こうした声を、私は現場で多くの保護者の方から伺ってきました。確かに、プログラミング教室は都市部に偏在していたり、費用面で負担が大きかったりと、気軽に始められないご家庭もあります。

ですが、だからといって子どもの未来に必要な“プログラミング的思考”をあきらめてしまう必要はありません。家庭の中でもできることは意外と多く、保護者の方が少し工夫するだけで、子どもの思考力を大きく伸ばせるのです。


プログラミング的思考は「家庭の会話」から育つ

手順を言葉にしてみる

プログラミングは「目的を達成するための手順を考える」学びです。
例えば、朝の支度をテーマにして、子どもに「学校に行くまでの手順を説明してみて」と問いかけてみてください。

  1. 目が覚める
  2. 顔を洗う
  3. 歯を磨く
  4. 朝ごはんを食べる
  5. ランドセルを持って家を出る

これだけで立派な「アルゴリズム」になっています。コードを書くのと同じように、物事を順序立てて考える力が育まれるのです。


家庭でできる小さな“プログラムごっこ”

身近な動作をプログラム化

子どもに「ロボット役」をお願いして、「前に3歩進む」「右に曲がる」「ジャンプする」と指示を出します。子どもはその通りに動こうとしますが、ときには「1歩多かった!」とミスをします。これこそがプログラミングの世界でいう**デバッグ(間違いを見つけて直す作業)**です。遊びながら自然に学べます。

家事を一緒にアルゴリズムにする

料理や掃除を子どもとするとき、「最初に何をする?」「次は?」と声をかけると、フローチャート的な考え方を練習できます。実際に私のクラスに通う小学生は、自宅で「お風呂に入る手順」をホワイトボードに書き出して見せてくれました。親御さんも「生活の中でこんなに考えられるなんて」と感心されていました。

デジタルツールで遊びながら学ぶ

無料で使える ScratchHour of Code は、ブロックを組み合わせてキャラクターを動かすことができ、“遊んでいたらプログラムができた”という感覚を子どもに与えます。
オンライン教室やYouTubeの学習チャンネルと組み合わせれば、家庭でも安心して取り組めます。


オンライン学習のメリットと課題

オンライン教室は、通学の手間を省けるだけでなく、全国どこに住んでいても質の高い講師にアクセスできるのが魅力です。

  • 移動時間が不要なので、忙しいご家庭でも無理なく続けやすい
  • 録画機能を使えば、後から何度も復習できる
  • 保護者も同席でき、子どもと一緒に学ぶ機会になる

一方で、画面越しでは子どものつまずきをすぐに気づきにくいこともあります。あるご家庭では、子どもがエラーで手が止まったまま黙り込み、「分からない」と諦めかけていました。そのとき保護者の方が「どこまでできた?」「どう違うと思う?」と優しく声をかけると、子どもは自分で間違いを見つけ出し、誇らしそうに直していました。

つまり、オンライン学習を成功させるカギは、保護者が「一緒に考える姿勢」を見せることなのです。


プログラミング教室に通えない場合の工夫

  • まずは無料・低価格の教材から始める
  • 毎週の「プログラミング時間」を家庭で設定する
  • 親も「分からない」を前提に、調べながら一緒に挑戦する
  • 成果物を家族で見せ合い、「できたね!」とフィードバックする

私の教室に通えない地域のご家庭から、「記事を読んで真似してみたら、子どもが自分から説明してくれるようになった」と報告をいただきます。家庭でできる小さな実践が、子どもが“言語化しながら考える力”を育む第一歩になります。


まとめ

  • プログラミング教室に通えなくても、家庭でできる方法はたくさんある
  • 日常生活の中で「順序を言葉にする」「もし〜なら」を繰り返すだけで、論理的思考が育つ
  • オンライン教材を活用すれば、場所や時間にとらわれず学習可能
  • 保護者は“教える人”でなく“伴走者”として関わるだけで十分

未来の社会で必要とされるプログラミング的思考は、家庭の中でも無理なく育むことができます。大切なのは「今できる小さな一歩」を踏み出す勇気です。


次回予告

次回は、プログラミング以外の未来型習い事について、英会話やディベート、ロボティクスなどの学び方とその魅力をご紹介します。

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