「過去の履歴」って自然な言葉?
書類や履歴書、報告書などでよく見かけるこの表現:
「過去の履歴を確認してください」
なんとなく丁寧でわかりやすいと思いがちですが……
実はこの「過去の履歴」、**意味が重なった“重複表現”**なんです。
✅「履歴」にはすでに「過去」の意味がある
そもそも「履歴」という言葉は…
- 「これまでに経験した経過」や「過去の出来事の記録」などを意味します。
つまり、「過去の履歴」と言うと、
“過去の過去の記録”
……となってしまい、わざわざ2回「過去」を言っている状態になります。
❌ NG例 vs ✅ OK例
NG表現 | 改善例 |
---|---|
過去の履歴を調べる | 履歴を調べる |
過去の履歴に基づいて判断する | 履歴に基づいて判断する |
過去の就業履歴をご提出ください | 就業履歴をご提出ください |
“過去”をつけなくても、履歴そのものが過去の記録です。
🤔 なぜこういう言い方が広まるのか?
- 「履歴=データの羅列」と誤解されているケースがある
- 「履歴」と「記録」や「経歴」などの言葉の違いが曖昧
- IT用語(ブラウザ履歴など)として使われ、“履歴=過去”が意識されにくいことも
🧹 正しく伝えるコツ
- 「過去」と書きたくなったら、**“未来の履歴”ってあるのか?**とツッコミを入れてみる
- 1語ずつの意味を分解して見直すクセをつける
- 自分の文章を音読してみると、くどさに気づきやすい
📝 まとめ|「履歴」はそれだけで“過去”の記録
「過去の履歴」はくどいだけでなく、少しだけ知性を損ねてしまう表現かもしれません。
特にビジネスメールや履歴書などでは、スマートな言葉選びが印象を左右します。
なお…
🎙️ 話し言葉としては「過去の履歴」も強調や補足の意味であえて使われることがあります。
たとえば会議などで「過去の履歴にもとづいて…」というと、より重みや明確さを出すために重ねているケースもあります。
ですが、基本的には「履歴」だけで十分。
次からは、「過去」は取ってスッキリさせてみませんか?
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